乙が万が一死亡することがあれば、相続の問題が発生しますが、IB に置いてある資金については、アメリカの法律に従って処理するようなことが必要になります。
2010年8月30日の日経新聞17面「Monday Nikkei」欄で、これに関する記事がありました。大賀智子氏の執筆です。一部引用します。
米国資産を対象に「海外相続サポートサービス」を手掛けている三菱 UFJ 信託銀行によると、「海外と日本では相続の考え方から違う」と指摘する。例えば、日本では亡くなった人の資産は相続人が管理できる。だが、米国では資産はいったん裁判所が決める代表管理者のものになり、課税などが済まないと相続人は手を触れられない。(中略)相続税にも外国税額控除の制度がある。詳しくは専門家に相談した方が安心だ。
これはなかなか重要な問題です。
乙の場合、詳細なエンディングノートを残すことで、家族への継承は可能だと考えていましたが、
2008.2.10 http://otsu.seesaa.net/article/83238257.html
2008.2.9 http://otsu.seesaa.net/article/83093468.html
2008.2.8 http://otsu.seesaa.net/article/82931951.html
2008.2.7 http://otsu.seesaa.net/article/82754174.html
最近は、そうともいえなくなってきました。
乙の全資産の4割ほどが IB に入っており、家族が乙に成り代わってパソコンを操作したとしても、かなりの金額ですから、そんなに簡単に国内に(あるいは別の外国の金融機関に)移すことができるとも思いません。
いや、そもそも、本人に成り代わってパソコンを操作することは違法行為だといえるかもしれません。死んだ人が生きているように偽っているわけですから。
となると、この相続問題は意外と深刻な問題になるかもしれません。
あまり考えてこなかったのですが、「万が一」はいつでも起こることがあり得るわけですから、真剣に考えてみる必要がありそうです。
ちょっとネットを見てみると、
http://www.tax1040nagasawa.com/us-inherit.html
などというページがあり、2009 年度であれば 350 万ドルを越えた場合にのみ遺産税がかかるという話です。基礎控除ということですね。「遺産税のための日米条約の適用することにより、非居住者も利用することが可能です。」とあるので、乙のように日本に住んでいてもこの基礎控除が適用されるのかもしれません。
乙の場合は、ここまでの資産はありませんし、今後の最大値予測でも、そこまでは達しないはずですから、問題にならないのかもしれません。
一方、別の情報もあり、
http://www.oshimasaito.com/news.php?itemid=344&catid=7
によれば、「連邦遺産税の計算は、課税財産から基礎控除を差し引いた金額に税率を掛け合わせて行います。基礎控除は一律に認められる非課税枠のことですが、非居住外国人と米国市民・居住外国人とでは金額が異なります。非居住外国人の基礎控除は6万ドルです。」とあります。
乙の場合、6万ドルは優に越えていますから、この文言の通りならば、遺産税を払うことになるようです。
この問題は、さらに考えてみます。
参考文献:
http://decatur.hp.infoseek.co.jp/tax_usa2.htm
2010.9.25 追記
この話の続きを
http://otsu.seesaa.net/article/163676735.html
に書きました。
よろしければご参照ください。
気になるようでしたらIBの日本法人が口座開設を受け付けるようですので、そちらに資金を移せば宜しいかと。
http://www.interactivebrokers.co.jp/jp/accounts/accountOpeningSteps.php?ib_entity=jp
その場合間違いなくアメリカの遺産税の課税リスクはなくなると思われます。
IB の日本法人の口座開設は、事実上、アメリカでの口座開設であり、それを日本(語)でサポートするという位置づけのようです。
となると、ご提案の方法ではアメリカの遺産税の課税リスクは回避できません。
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第187号
加入協会:日本証券業協会
IBの日本語ページの下部に上記の記載がありました。
アメリカにあるシステムを利用していますが協会に加入した上財務局の登録もすましていますので国内準拠で扱われると思われますが。正直自分も自信がありません(汗
口座開設のカスタマーサービス(日本語
電話番号:03-4588-9700にて遺産税の対象か確認されるのが一番楽で確実だと思われます。
自分は北米在住の為電話してまで確認とれないのですが・・・。
日本在住時に乙さんのIB開設記事のおかげで助かりました。記事を楽しみにしております。
実は、日本での IB のカスタマーサービスに電話して、IB に預け入れた資産は「アメリカに存在する」ことになるということを確認してあります。
遺産税についても、質問したのですが、「その件は専門家(税理士・弁護士)におたずねください。」というばかりでした。ま、電話で対応してくれるレベルの方では、これはむずかしくてわからないとは思いますが。
の「Customer Service」の中にある「Transfer on Death Agreement」を提出しておけばprobate(アメリカの裁判所による検認)を回避できるように思われます。
有益な情報提供、ありがとうございます。
これからちゃんと読んでみます。
書類の末尾にnotary publicによる署名の
欄が有って、これは外国文認証が得意な公証人
役場(例えば
http://homepage3.nifty.com/shin-kou/ninshou1.html
http://www.k-kosho.jp/index01d.html
など)かアメリカ大使館
http://tokyo.usembassy.gov/j/acs/tacsj-notary.html
でやってもらえるらしいので、来月やって
みようと思います。
アメリカという国は、自国に対する基準と他国に対する基準が異なる、ダブルスタンダードの国かもしれません。
いろいろな問題が関係しそうです。
それが海外投資の最大のリスクのような気もしてます。
ちなみに
海外口座の相続手続きについて
http://www.carlos.or.tv/essay-j/inherit_overseas_account.html
詳しい情報提供をありがとうございます。
お教えくださったサイトも拝見しました。
確かに、相続手続きをきちんとしておかないと、自分の死後に家族が大迷惑しそうです。
今後、この方面もきちんと対策を立てておこうと思いました。
もっとも、なかなか時間が取れないのですが、……。
「国際相続の税務」という本を買って
読んでみましたが、アメリカの遺産税は
日本のネット証券で買ったアメリカ株にも
掛かるので、IB証券の口座がアメリカに
あるか日本にあるかはまったく関係が無い
ようです。しかし米ドル現金にアメリカの
遺産税が掛かるかどうかは米ドル現金が
アメリカにあるかどうかが問題になるので
相続時に日本の金融機関に移しておけば問題
ありません。
まとめとしては、死期の予想がつく場合は
アメリカ株(と債券)を現金化して日本に
移せばアメリカの遺産税はかからず、突然死
した場合は遺族が遺産税の申告と納税を
せざるを得ないので手続きが楽になるように
アメリカの裁判所の検認を避ける書類を予め
出しておく、というのが現時点でやれること
の全てだと理解しました。
IB 証券は、今のところ、口座はすべてアメリカにある(日本の会社は取り次ぎをするだけ)と考えるべきでしょう。
「アメリカの遺産税は日本のネット証券で買ったアメリカ株にも掛かる」というのは本当でしょうか。
これが正しいなら、アメリカ株に投資する投資信託類もすべて同じようにみなされるのではありませんか。
これはいろいろな問題に直結するので、今後も調べてみたいと思います。
>買ったアメリカ株にも掛かる」というのは
>本当でしょうか。
これの情報源は「Q&A 国際相続の税務」
坂田 純一 (著), 矢内 一好 (著),
杉田 宗久 (著) 、2009年発刊
と
「外貨建て資産投資の所得・相続・贈与税」
三宅 茂久 (著) 、2004年発刊です。
IRSのホームページをじっくり読んだわけでは
無いですが、多分本当でしょう。
>これが正しいなら、アメリカ株に投資する
>投資信託類もすべて同じようにみなされる
>のではありませんか。
投資信託には興味ないので調べておらず
わかりませんが、NYSE上場のETFは
アメリカ株と同じ扱いでしょう。よく
わからないのが、カナダの会社がNYSEに
上場されている場合です。
死にそうになったら文字通り死力を振り絞って
株を売って出金しないと残された家族が相当
面倒臭いことになるということで、実は
日本のネット証券でアメリカ株を買っている
人も同じ状況になっていると理解しています。
三宅さんの本は乙も読んだことがありますが、
2008.3.23 http://otsu.seesaa.net/article/90527679.html
当時は、読み飛ばしていました。
もう一度読み返してみます。
坂田他の本も急いで読んでみます。
議論を興味深く拝見しました。
http://www.oshimasaito.com/fr/fr110502.html
のページによりますと、「被相続人が日本国籍を有する場合には、米国市民・居住者用の非課税遺産枠が、アメリカ国内財産が日米合計の総財産に占める割合を乗じた額に減額され、控除できます。」と書いてあります。そして、その根拠は日米間の贈与税・相続税に関する租税条約によるものだそうです。
この通りだとすると、2009年の非課税遺産枠は350万ドルなので、米国内資産の割合が全体の4割の場合には、350万×0.4=140万ドルまでが非課税枠になります。つまり、日米含めた総資産が350万ドル以内なら、米国内資産は遺産税の対象にならないことになるでしょう。
しかし、2002年度の非課税枠は100万ドルだったように、年によって非課税枠の大きさが違ってくることには注意が必要でしょう。(2002年度の場合には、米国内4割なら、40万ドルが非課税枠)
http://www.oshimasaito.com/fr/fr110502.html
のページは、アメリカの居住者の場合です。
乙は、日本に住んでいますので、アメリカでは非居住者に該当します。
アメリカの場合、居住者と非居住者では、何から何まで違ってくるようです。
もう少し細かい議論をさせてください。
この前段から始めますと、「被相続人が非居住外国人の場合は、6万ドルの非課税遺産枠が適用されます。ただし、被相続人が日本国籍を有する場合には、」と書いてあります。そこで、乙さんを被相続人(財産を遺す側)とすれば、アメリカ非居住外国人かつ日本国籍を有する者となりますので、このルールが適用できます。したがって、先のコメントのようになるでしょう。
もちろん、ここでは相続人(財産を受け継ぐ側)がアメリカ居住者であることを想定して書かれています。しかし、アメリカの連邦遺産税は、日本の相続税とは違い、被相続人に対する課税ですから、おそらく、相続人の居住・非居住は関係ないでしょう。
とこんな感じでいかがでしょうか。
おっしゃりたいことが、乙にはよく理解できません。
乙は、自分の立場でしかものを考えていません。したがって、相続税・遺産税といえば、自分が死んだときの話であり、それ以外のことはまったく興味がありません。なぜならば、親戚で外国に住んでいる人はいないし、外国に財産がある人(で乙に遺産を残す可能性がある人)もいないからです。
アメリカの税制についても、全部を理解する必要はなく、当面は、乙が日本に住んでいる場合にどうなるかだけを考えればよく、将来的には、せいぜい、PTとなった場合の扱いを知っておけば十分です。
というわけで、モリモリさんの興味と関心の持ち方とかなりずれているのではないかと感じています。
話が良く伝わっていない感じがしますので、もう少し丁寧にお書きしたいと思います。
私の話は初めから、アメリカに財産を持つ被相続人(財産を遺す側)が、アメリカ非居住者(ex. 日本に住んでいる)であり、日本国籍を有する人について話をしております。
これはつまり、米国の証券会社に口座を持ち、日本に居住し、日本国籍を持つ、乙川さんのようなケースであり、乙川さんが亡くなって(失礼!)財産を遺す側の被相続人となってしまうアメリカでの遺産税のことになるかと思います。
つまり、乙川さんが出会うであろうケースそのままで話をしているつもりです。
いかがでしょうか。長々と失礼いたしました。
乙のケースを前提に話をしてくださっていたとは、乙の受け取り方がずいぶん違っていました。
さて、その場合は、2010年10月13日 23:58 のコメントとはだいぶ違って、非課税遺産枠は6万ドルしかないと思います。
となると、以前のモリモリさんからのコメントは無意味になってしまうのではありませんか。
ようやく話がつながったようで何よりです。
そこで、最初のコメントに戻るわけですが、亡くなった被相続人が米国非居住者で米国市民権を持たない場合、米国内資産が6万ドルを超えると、遺産税の申告義務が発生することになります。(ここまでが通常の非課税遺産枠)
しかし、2010年10月14日 16:50の私のコメントにも書いたように、被相続人が日本国籍を持っている場合には、米国居住米国市民の使うunified creditという税額控除を、日米の租税条約に基づき、被相続人の米国内資産の割合に応じ按分して受けられるのではないかということです。このことが最初からの私のコメントの趣旨です。
この米国市民の税額控除額は2009年では350万ドルであり、2010年では遺産税が撤廃、2011年以降では100万ドルになります。
http://souzokuusa.blogspot.com/2009/12/blog-post_25.html
また、米国非居住者で米国市民権を持たない者の米国遺産税は米国内国歳入庁(IRS)のForm 706-NAに従うことになるようです。
申告書
http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/f706na.pdf
インストラクション
http://www.irs.gov/pub/irs-pdf/i706na.pdf
http://www.irs.gov/instructions/i706na/index.html
元の話に戻って、unified creditを租税条約に基づき按分して受けるとしたら、下記にあるようにステートメントを添付する必要があるようです。
http://www.irs.gov/businesses/small/article/0,,id=108143,00.html#14
なお、Form 706-NAのインストラクションを読みますと、米国内資産の定義としては、株式は、株式証書が物理的にどこに存在するかには関わらず、米国法に基づく会社の株式は、米国内に存在することになっています。
つまり、米国株は、どこの国の証券会社で買おうが米国内資産とみなされるということになります。ADRやETFについては、米国株と同様に扱われるのかはこれを読む限りでは判然としません。
一方、
http://palcomhk.blog79.fc2.com/blog-entry-523.html#comment-top
のコメント欄にあるように、「法の適用に関する通則法」を適用して被相続人の国籍を基準として、準拠法を決められるとする考えもあるようです。そうだとしたならば、乙川さんの場合、日本の相続税法だけを考えれば良いことになります。
日米の租税条約は、日米のそれぞれの国内法に基づくと二重課税が発生する(米国で遺産税を取られ、かつ日本で相続税を取られる)場合にそれを調整するための仕組みを設けたものと理解しています。
とすると、米国居住米国市民の使う税額控除を、被相続人が米国非居住者の場合に適用できるはずがないと考えます。(たとえ、按分でも。)
いかがでしょうか。
もう少し続けさせていただきます。
乙川さんの言われる「米国居住米国市民の使う税額控除を、被相続人が米国非居住者の場合に適用できるはずがないと考えます。」という理屈は、根拠の弱い話に思えます。もう少し説得力のある話がありましたら、お願いしたいと思います。
以前の書き込みの繰り返しになりますが、
http://www.oshimasaito.com/fr/fr110502.html
によりますと
「被相続人が非居住外国人の場合は、6万ドルの非課税遺産枠が適用されます。ただし、被相続人が日本国籍を有する場合には、米国市民・居住者用の非課税遺産枠が、アメリカ国内財産が日米合計の総財産に占める割合を乗じた額に減額され、控除できます。米国市民・居住者用の非課税遺産枠(2002年100万ドル)の按分配賦額が認められるのは、日米間の贈与税・相続税に関する租税条約により、日本人はアメリカの遺産税の計算上、アメリカ市民および居住者の非課税枠を適用できるためです。」
と日米間の租税条約のために米国市民・居住者用の非課税遺産枠の按分配賦額が日本居住の日本人に認められると書いてあります。
つまり、乙川さんの書き込みの反例である「米国居住米国市民の使う税額控除を被相続人が米国非居住者の場合に適用できる」例になっているからです。
いかがでしょうか。
やっとモリモリさんのおっしゃりたいことがわかりました。
乙の判断は間違いかもしれません。
日米租税条約の中身を見てみないと何ともいえませんので、もう少しこちらを調べてみます。
いずれにせよ、自分自身の税金に関わることなので、無関心ではいられません。
お教え、ありがとうございました。