中にはうさんくさいものもあったりしたわけですが、まあ、すべては勉強のためと割り切って、いろいろ試してみたというのが実感です。
数年間、そのような試行錯誤をやってみた結果として、なかなか投資はうまくいかないものだということがわかってきました。
さて、ユナイテッドワールド証券から中国・香港IPOファンドの勧誘がありました。
ネットにも情報があります。
http://www.uwg.co.jp/ad/fund/ipo/index.html
では、こういうものに投資するでしょうか。
以前の乙ならば、「おや、おもしろそうだ。最低金額だけ出してみよう」と思ったと思います。
まあ、何でも「試し」が大事だと思っていました。
最近は、忙しさにかまけて、あれこれ手を出すよりも、すでに購入したものに追加投資することが多くなってきました。新しいことに関して、情報収集し、比較検討する時間が取れなくなっているということです。
このファンドも、今までにないタイプのものとして、おもしろそうに思います。
しかし、乙は投資しないことに決めました。
なぜそのような判断をするようになったか。ちょっとメモしておきましょう。
(1)1年満期である
短期決戦型の1年満期をうたっていますが、なぜ1年なのでしょうか。
もしも、パンフレットにあるように、IPO がうまくいって、かなりの儲けが出るようならば、運用会社としても、1年といわず、2年から3年、さらには10年でも20年でも、長期にわたって運用したほうが大きな儲けになるはずです。しかし、そう判断しませんでした。
このファンドは申込手数料が3%かかります。
ということは、もしかして1年後に再度募集があって、1年型の同種のファンドが設定される場合、再度3%の手数料を払わなければなりません。つまり、手数料がそれだけ多くかかるということになります。これは、顧客にとって損であり、運用会社にとって得な話です。
まさかとは思いますが、こんなことをねらっているのでしょうか。
(2)IPO が必ず儲かるということはいえない
投資はリスクがあります。IPO が必ず儲かるということはいえないのは当然です。
「取得した公募株式は、基本的に上場日初日か遅くとも3日以内に売却を行います。」と書いてあり、この面でも短期決戦型ですが、これで儲けが出るとは限りません。
http://www.uwg.co.jp/ad/fund/ipo/ipo.html
には、過去の例が出ていますが、「ランキング集」はあてになりません。過去を振り返ってうまくいった例を並べただけで、ファンド会社がそれらを事前にあてることができると考えられるかというと、大いに疑問です。
過去の例を見ると、平均的には儲かるということはいえそうです。
「2005年初〜2009年末の5年間にIPOを行った297銘柄について、公募価格と上場日終値を比べてパフォーマンスの低い順に左から右へ並べてグラフ化したもの」が掲載されています。これを見ると、プラスが194銘柄に対してマイナスが103銘柄ですから、全体的には「あたる」可能性が高そうです。
しかし、年度ごとのパフォーマンスが大きく違っていることに注意が必要です。
平均のパフォーマンスで見ると、2005年 3.8%、2006年 24.5%、2007 年 22.2%、2008 年 6.7%、2009 年 16.1% となっています。2006 年から 2007 年は、世界的に景気がよかった年です。2008 年秋からのサブプライム問題、リーマンショックなどの影響で、世界経済が振るわなかった時期には、このファンドのパフォーマンスは下がっています。
これから1年を予想するに、まあ世界経済が大きく拡大するという楽観的な見方はあまりできないでしょう。とすると、20% ものプラスにはならないのではないでしょうか。たかだか数%程度と見込んでおくべきでしょう。
(3)手数料が高い
このファンドは、申込手数料(約定金額の3.15% 税込)が高いだけでなく、管理報酬国内及び海外管理報酬(純資産額の年率 1.6465%)も高いと思います。その他に成功報酬(15%)もかかります。「監査報酬等(事前に計算できないことから総額を表示できません。)」もかかると書いてあります。
こんなに手数料を払って、投資家にリターンがあるでしょうか。
数%程度の儲けは確実に手数料として吹っ飛んでしまいます。
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