日本社会はヤクザに汚染されているというわけで、「政・官・業」がどのようにヤクザと絡んでいて、どのように不当なことをやっているかを書いた本です。内容的には新しいことは多くありませんが、さまざまな事実をつないでいくと、そこに日本社会の不合理な面が浮かび上がってくるというわけです。
どうにも、日本の未来は明るくないようです。
さて、その中で、ちょっと気になるひとことがありました。
p.258 ですが、「いま、財務省の役人たちは、当時(乙注:戦後日本の新円切替と預金封鎖の時期)のことを改めて研究しているという。そして、預金封鎖、預金切捨て、新旧分離に関する法律が時限立法ではなかったのを確認し、いまでも適用できるのがわかったという。」とあります。
大いに気になりますねえ。これでは、本吉氏
http://otsu.seesaa.net/article/16392565.html
が述べていたことが間違いになってしまいますからね。
さっそくネットで調べてみました。
http://www.carlos.or.tv/essay-j/deposit_freeze_jp.html
戦後不足がちであった食糧の買いあさりの防止や、インフレ対策として預金封鎖と新日銀券への切替えを含む施策が1945年11月頃から検討され、司令部との折衝を踏まえ、1946年2月17日に勅令(大日本帝国憲法第8条)、すなわち「金融緊急措置令(1963.7.22廃止)」「日本銀行券預入令(1954.4.10廃止)」に基づき幣原喜重郎内閣により実施された。また、企業と金融機関の再編整備が重要な課題であり、財務局発足当時の金融関係の重要な業務は、「金融機関経理応急措置法」(1946.8.15法律第6号)と「金融機関再建整備法」(1946.10.18法律第39号)の施行事務にあった。【中略】金融機関経理応急措置法第2条にいう、金融機関の負債のうち「命令で定める預金等」というのが市民の預金の意味であることに留意。しかもこれらの法律は現行法であり、命令というのは、政令、つまり国会審議を必要としないものであることにも留意しないといけない。
http://www.yukan-fuji.com/archives/2004/12/post_1158.html
「預金封鎖」荒和雄著(講談社文庫・560円)
終戦直後の預金封鎖の時に使われた法律の一部が今も廃止されずに残っており、法律解釈上は政令か内閣府令で預金封鎖が瞬時に可能だという。
http://www.nextftp.com/BangukokThai/fuusa.html
昭和の預金封鎖実施に当たり、制定された六つの法案があります。
@ 金融緊急措置法
A 日本銀行券預入令
B 臨時財産調査令
この三つの勅令を軸にして、実際に預金封鎖を実施、その後の預金カットにいたる措置として、追加で三つの法律を公布、施行。
C 金融緊急措置令施行原則
D 会社経理応急措置法
E 金融機関経理応急措置法
この法律によって、封鎖された貯金は、第一封鎖預金と第二封鎖預金に分けられ、第二封鎖預金と企業・金融の不良債権が一括処理され、戦後補償打ち切りが行われました。
@とAは現在廃止、BとCは廃止されたと言う資料無し、DとEは間違いなく現存しています。残った法律で、つまり法改正を国会の場で行わず、解釈しだいでは突然の「預金封鎖」は可能ではないかと言えるそうです。
う〜ん、これらを読むと、やはり、法律上は預金封鎖が可能であるように思えてきました。
乙の安心感は、たった2日間だけでしたね。
ただし、現実の政策として考えると、預金封鎖するよりは、増税やハイパーインフレのほうが可能性が高いと思いますが。
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