2010年10月20日

アメリカでの相続(3)

 以前のブログ記事
2010.9.25 http://otsu.seesaa.net/article/163676735.html
2010.8.31 http://otsu.seesaa.net/article/161081438.html
の続きです。
 その記事でモリモリさんが次のようなコメントをくださいました。
http://www.oshimasaito.com/fr/fr110502.html
のページによりますと、「被相続人が日本国籍を有する場合には、米国市民・居住者用の非課税遺産枠が、アメリカ国内財産が日米合計の総財産に占める割合を乗じた額に減額され、控除できます。」と書いてあります。そして、その根拠は日米間の贈与税・相続税に関する租税条約によるものだそうです。

 乙は、日米間の贈与税・相続税に関する租税条約というのは、二重課税(および課税もれ)を防ぐための仕組みだと理解していましたので、租税条約で、外国人があたかも当該国に居住しているものとみなすということはありえないと思います。
 さて、そうはいっても、気になるので、ちょっと日米間の贈与税・相続税に関する租税条約を調べてみました。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/kokusai.htm
には、租税条約に関する記載があります。
 その中の「最近締結した租税条約(条文・概要)」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/274.htm
を見ると、「日アメリカ租税条約(2003年署名・2004年発効)(和文・英文・概要)、交換公文(和文・英文)」というのがあります。
 これをたどって租税条約の中身を見ても、oshimasaito.com が述べているようなことは見つかりません。
 また、
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/274.htm
には、「※上記より前の条約については外務省ホームページの条約データ検索をご利用ください。」とありますので、これを利用して以前の租税条約を見ることができます。
http://www3.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/index.php
のページから「遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」というのが見つかります。
http://www3.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdf/A-S38(3)-256.pdf
がそれです。古いものですが、スキャンされて pdf 化されています。
 こちらを見ても、oshimasaito.com が述べているようなことは見つかりません。

 この件に関して、何かご存じよりのことがありましたら、お教えいただけませんか。


posted by 乙 at 05:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 投資関連の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
乙川様: モリモリです。

もう少し続けましょうか。

そもそも、乙川さんのケースでは、被相続人が日本居住の日本人でも、米国内に資産があることを根拠に、米国遺産税の課税の可能性があるのではないかとの話なわけです。

ということは、米国内に資産が存在することを根拠に課税される米国遺産税に対し、乙川さんが書かれた「租税条約で、外国人があたかも当該国に居住しているものとみなすということはありえない」と、居住だけを要件に租税条約が適用できないとする議論は、おかしいのではないでしょうか?

あらかじめ状況を再確認いたしますが、乙川さんのケースでは、乙川さんが日本居住者の日本人であり、乙川さんの遺産の受益者も日本居住者で日本の相続税が課されるが、一方、乙川さんが米国内に資産を持つために、米国遺産税もまた課税されうるケースと考えてよろしいですよね。


でしたら、前述の日米間の租税条約
http://www3.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdf/A-S38(3)-256.pdf
の第四条(一方国の無制限納税義務者に対し他方国が制限納税義務者として課税する場合)を解釈すれば出てきませんか?

ここでの条文を乙川さんのケースに沿って解釈してみます。

「被相続人の受益者が日本に居住する場合(日本で相続税がかかる場合)において、

一方の締約国(米国)が米国内に財産があることのみを理由としてその租税を課する締約国(米国)は、

被相続人が米国籍を有しているあるいは米国居住していたとすれば(ここは仮定法であることに注意!)米国の法令に基いて認められることとなる特定の控除(unified credit)を、当該控除の額に

米国内の財産の価格の、全財産の価格、に対する割合を乗じて得た額を下らない額により行う。」

と解釈することで控除額の比例按分が可能になるかと思いますが、いかがでしょうか。
Posted by モリモリ at 2010年10月24日 15:21
モリモリ様
 今回の丁寧なご説明で、自分なりに納得しました。
 モリモリさんがおっしゃることが正しいと思います。第4条をそう解釈すれば、相続する全財産の按分で控除するということになります。
 お教え、ありがとうございました。
Posted by at 2010年10月26日 05:16
モリモリです。

日米の租税条約の第四条をお読みの上で、ご納得いただけたのでしたら、ありがたいです。今回、私も調べましたので、私自身勉強になりました。
Posted by モリモリ at 2010年10月28日 23:30
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