とはいえ、自伝的小説なので、ノンフィクション的な味つけが効いていて、とてもおもしろいと思いました。しかし、あくまで全体が「小説」であり「フィクション」ですから、何がフィクションで何がノンフィクションかわかりません。乙はこの点がかなり不満でした。男にも女にもクラスがあるなどという話は、ヒルズ族だった著者ならではの書きぶりだと思いますが、でも、それが本当なのかどうか、わかりません。全体がフィクションであれば、その中にノンフィクション的な部分を含ませても、それもまたフィクションなのです。
乙は普段ほとんど「小説」を読みませんが、それは、こういうところが嫌いなのだということがよくわかりました。
今は、小説中のネクサスドアはライブドアのことだ、ヤマトテレビはフジテレビのことだとわかりますが、20年も経ったらそんなことは忘れ去られてしまうのでしょうね。その段階で、この小説がおもしろいと感じられるかどうか。それがこの小説の価値を決めるように思います。
内容的には、一人の貧しい若者が大きなビジネスを起こしていくといったもので、よく書けていると思います。
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