2009 年の衆議院選挙のときのマニフェストを取り上げ、それがその後どうなったかを一覧表にしたものです。
公約の検証ということですが、こういうことも新聞の大事な役目でしょう。過去を振り返り、未来のあり方を考える上では、ときどきこんなことをしておかないといけません。
ざっと見ると、以下のようなことになっていました。
・分野
衆院選マニフェスト→現状
という順番で実現度が低いものから高いものの順に書きます。
・外交安保
在日米軍基地のあり方を見直し→普天間基地移設問題は自民政権時の案に逆戻り
中国などアジア諸国との信頼関係構築→尖閣諸島巡り対中関係が緊迫
・税・社会保障
配偶者控除、扶養控除の廃止→政府税調は意欲も、党に慎重論
消費税を財源とする「最低保障年金」(月額7万円以上)を創設(13年までに法改正)→消費税論議を棚上げ
ガソリン税などの暫定税率の廃止→10年度は廃止断念、11年度も党に慎重論
11年度から月2万6000円の子ども手当支給→11年度の満額支給は断念
・政治・行政改革
国家公務員の総人件費2割削減→10年度は人事院勧告通り給与 1.5% 下げ
衆議院定数の80削減→参議院選挙でも約束するが議論停滞
天下り団体の公益法人は原則廃止→09年度国家公務員 462 人が公益法人に再就職
法改正の3年後に企業団体献金を廃止→自粛見直し、受け取り再開を表明
政府に国会議員を 100 人配置→関連法案の成立見通し立たず
・国交・農水
八ツ場ダムの中止→中止方針を事実上撤回し、再検証
高速道路の原則無料化(12年度から 1.3 兆円)→11年度要求は 1500 億円どまり
農業の戸別所得補償(11年度から1兆円)→11年度は約 8000 億円要求
公共事業費を 1.3 兆円削減→10年度に約 1.3 兆円削減。ただし10年度補正予算で公共事業費積み増し
・教育
10年度から公立高校の無償化→10年度から無償化実現
こうやって並べてみると、見事なものです。高校の教育費無償化は実現したものの、それ以外は軒並み達成できていません。まるでほとんど何もやっていないかのように見えます。
これでは、前回の衆議院選挙の結果を踏みにじっているとしか言いようがありません。
各党がそれぞれの政策を掲げて「日本をこうします」と約束し、選挙で多数の支持を得た党が国民の信任を得たとしてその政策の実現を目指していくのが民主主義の世の中(今の日本)のあり方です。しかし、民主党が約束したことがほとんど何も実現できていないかのように見えます。あまりに見事すぎて声も出ません。
このまま次の衆議院選挙を迎えれば、民主党の大敗は間違いなしです。だって、「やる」といったことがやられていないのですから、そういう約束をした党が「次にこうやります」と言ったって、それを信じる人はいないでしょう。民主党は「何もできない党」でしかありません。
民主党が公約を守らないことだけが問題ではありません。
こういうことになったことで、国民の政治不信をいよいよ増幅させてしまったことがさらに大問題なのです。
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私は巷間言われる「マニフェスト選挙」には懐疑的ですが(所詮現有権者のマジョリティに受けの良い大風呂敷を拡げた代物にしかならないからです。)、多くの国民からその公約を善しとされた「時の」与党政権がある一定の期間を経過後それらを実現しない(できない)ことが国民の目から明らかになれば、事実上下野せざるをえない筋合いでしょう。
ここで「ある一定の期間」(賞味期限)をいかに解するのかが問題となるところ、某民主党議員で現某省副大臣曰く、「自民党政権50年でできなかったことを1年やそこらでやれと求められても、諸関係者との折衝もあることだし拙速すぎる。」と。
なるほど改革には既得権益者らとの駆け引きが付き物でしょうが、そうならば貴方らと先の自民党政権との違いはどこになるのか、そもそも政治主導とは何なのか、とお聞きしたい。
この方の発言こそが現場の国民と雲の上で政局に明け暮れる選良らとの温度差を見事に表しているのだろうと思うのです。
例えば、医療、介護など社会保障分野の現場で働くものの疲弊はおそらく彼らの耳に入っても伝わることはないでしょう。
日々傾斜する現場の人々の営みや暮らしが完全に破綻する時まで公約実現することを待てるはずもなく、従前以上に改革や公約実現のスピードは加速度的に上げる必要があると思います。
よって、時の与党政権または内閣の賞味期限は、解散総選挙がなき限り、事実上衆参に関わらず次回の選挙までだと考えます。
したがって、20年間で14人も首相が交代するような体たらくぶりは今後も続くのだろうと思う次第です。
結局、全ては財源不足。
打ち出の小槌みたいに、政権を取ったらお金が出てくると思ってたんでしょうけど、そんなことはなかったと。
もしかしたら、と私も思わないでもなかったですが、やっぱりと言うところですね。
それでも、試すだけの価値はあったと思います。今後、他党を含め、どのような甘いマニフェストが出てきても、そんなことは無理と思えますからね(^^)
50年と1年を対比させるやり方は明らかに変です。そのときどきの判断の積み重ねを繰り返して50年経ったのであって、一貫した方針で独裁者が統治したわけではありませんから。
次の選挙までが現実的な賞味期限だという見方に賛成です。
マニフェストにいろいろ盛り込んだのは民主党なのですから、政権を取ったら、そこに盛り込まれたことは次の選挙まで(たいてい数年のうちに)目鼻を付けるべきです。実現しなくても、少なくともそれに取り組んでいなければなりません
その形跡がまったくないのが問題なのです。
まあ、毎年の予算の組み方に与党の考え方が色濃く表れるわけですが、2011年度の予算がどうなるか、(期待はしていませんが)注目していきたいと思います。
乙も、自民党政権が続くよりは、ここで一度民主党政権になった方がよかったと思います。
「財源不足」なんてちゃんちゃらおかしいのです。今の民主党の幹部たちはずっと前から国会議員だったわけで、毎年の予算審議などをしてきたわけですから、どこに余剰金があるか、わかっていたはずで、それを前提にマニフェストを作ったのではないですかねえ。今さら「金がない」なんて、おかしな話です。自民党政権時代に、民主党議員たちは居眠りだけをしていたのでしょうか。
それで、ふたをあけたら、あれれ・・・と(^^)。
私も含め、結構な数の有権者もそう思っていたので、一方的に責める事は出来ませんが。
結局、増税と給付の削減しかないと思います。
出来るだけ早く身の丈に合わせないと・・・
有権者は政治のプロでもないし、国の予算案を読んで、あそこがおかしいとかこれがいいとか言える人は少ないでしょう。だから、自分で考えるというよりは、「政策のプロ」に代理を頼むわけで、それが政治家ということです。だから、有権者が問題だとは思いません。有権者は、選挙という手段で大まかな方向性を示せばいいのであって、それを具体化させるのは政治家であるべきです。
民主党はそれがまったく(ほとんど)できていないことが問題なのです。
次の選挙で、何党に投票するか、迷ってしまいます。