介護福祉士の夫婦が夫側の両親と同居している話です。夫婦ともに介護福祉士ということでは、どう考えても高給取りにはほど遠いでしょう。月の手取りが夫婦合わせて39万円というのは、そんなものかと思います。それでも二人の子供がいます。そういう生活が可能なのは、親と同居しているからです。月々3万円を親に渡しているとのことですが、夫婦それぞれの実家に子供たちの面倒を交互に見てもらうことで何とかやりくりしているということです。
日本では、現在、夫婦と子供二人という核家族が崩れはじめています。核家族という形態は、男性が一人で働いても十分な収入が得られて、妻が専業主婦でも大丈夫なようになっていたからこそ成立した家族形態です。今のように非正規職が一般化したりして、収入が十分でなくなれば、一人で家庭を支えることは不可能になり、それに応じた家族形態になるのは当然です。
というわけで、どちらかというと低所得層の若い夫婦とその子供、それに(場合によっては退職後の)祖父母の世代という3世代家族が増えつつあるというのが現状でしょう。乙の周辺でも、そういう例をいくつか見かけるようになってきました。
さて、話は変わって乙の未婚の次男の話です。今は乙と同居しており3人家族です。次男はすでに大学を卒業して定職についていますが、さほどの収入ではなく、ワーキングプアに近いといっていいでしょう。将来的にも、年功序列的に収入が上がることはさほど望めません。次男には、そろそろ結婚も視野に入れてつきあっている女性がいます。しかし、経済的に結婚がむずかしいと考えているようです。その女性も働いていますが、こちらもさほど高い収入ではなく、子育てに追われることになれば、仕事を続けることがむずかしいかもしれません。となれば、次男一人の収入では生活が成り立たない可能性もあります。
乙は、次男に親と同居することも選択肢の一つに入れてみてはどうかと提案しました。今住んでいる家は、夫婦と(大きくなった)息子2人を前提に作ったもので、4人で十分住める広さがあります。台所や風呂は一つしかありませんが、トイレと洗面台は二つずつあります。冷蔵庫もどういうわけか二つあります(笑)。長男は、すでに結婚して別居していますので、その部屋が空いています。だったら、そこに次男の嫁が入っても十分暮らしていけそうです。
都内でアパートを借りるとしても、二人が住むためには、それなりの家賃がかかるでしょう。二人の低所得を考えると、生活が成り立つのかどうか、心配です。今はそれぞれが親と同居しているから何とかなっていますが、二人で独立して住むとなれば、家賃以外の水光熱費や電話代、ネット代などもそれなりにかかります。
さらに大きな問題は、子供が生まれた場合です。核家族では、子供を保育園に入れることになりますが(そして乙は二人の息子をそうして育ててきましたが)、待機児童がたくさんいるのが現状です。うまく保育園に入れるかどうか、わかりません。保育園に入っても、その後、けっこう大変です。乙の経験でもそうでした。子供が伝染性の病気になったりしたときなど、乙と妻で交替に休みを取ったりしてしのいできました。
一方、親と同居していれば、近くに若干の人手があるのと同じことになります。いざというときはやや安心です。絶対安心とはいえませんが、……。
生活費は、みんなで一緒に住むほど安くなります。2人よりも4人、さらに子供が生まれて6人で一緒に住むと、コストはいっそう安くなります。子供が大きくなってからの6人暮らしは、今の家ではさすがに大変なように思いますが、それまでの10年ないし15年くらいでも、みんなで支え合って生活するのも悪くないと思います。そのころには、乙は退職して海外生活になる可能性もあります。とすれば、今の家を次男が使えば、家賃ゼロでずっと住み続けられます。
次男は、何とか家を出たいと考えているようです。自分のことですから自分で決めればいいのですが、親との同居も(嫁側が納得してくれれば)さほど悪くないように思うのですが、どうなのでしょうかね。
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この場合乙さんの言われるように結婚後両親と同居した方が経済的には良いでしょうね。
お嫁さんの感情を考えると、乙さん夫婦との同居ではなく、お嫁さんの両親と同居した方が良いかもしれませんが(家にスペースがあるかなどの問題はありますが)。
勤務先の位置と、それぞれの実家の位置を考慮すると、嫁側の両親との同居は困難です。
乙との同居なら、今もそこから通勤しているわけですし、十分可能です。また嫁も勤務先を変えて、次男の勤務先とまあ近いところに勤めるようになるという話です。
だからこそ、ますます同居案が有力なように思いますが、……。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
>日本では、現在、夫婦と子供二人という核家族が崩れはじめています。
そうであるならば、我が国の経済成長と相関関係にありそうな「都市への人口流入」の構造を変えるべく地方部の産業振興を益々促進させる必要があると思います。
核家族化が進んだのは、民も官も総動員で都市部に労働力人口を集中させることによって効率的に生産性の向上を目指した結果だと思うからです。
しかし、官は未だ変化なく、民間も多少の微動はあれど現在も企業統治が中央集権的であることに変化はないように思います。
また、地方部では生産部門のリストラが進んでおり、失業率も高止まりまたは上昇傾向です。
これでは家族の形態が変化する現状とのミスマッチで、新たな問題(例えば、老齢ニートや引きこもりの増加、高度な未婚率の常態化等)が発生することでしょう。
そこで、地方部での就業率を上げるべく、官については、地方行政との二重行政の解消や国をミニマムな行政作用に限定すること等によって地方部での公僕登用を増加させるべきですし、民間では、本社機能を都市部に集中することなく分散したり、そもそも医療や介護等の社会保障に関わる産業を促進し建設業等の衰退産業部門から労働力を移動する政策を推奨したりすべきだと思います。
もっとも、現在我が国の労働市場はアジアの廉価な賃金との平準化という闘いもあり、おそらくサラリーマンの平均所得は低下すれど上昇することはもうないように思います。
ひいては未婚者は年々確実に増え、共働きを推奨するようなキャンペーンの無力さを感ずるような社会になる日も実はそう遠い話ではないように思います。
一方、人を強いて生活レベルを低下させたり自立的にそうしたりすることも難しいでしょう。
結局、共働きを推奨するような施策を打つことも必要でしょうが、それ以上に長期的には、誰もが生きることへの安心感を得、明日への活力となるような施策、例えば、ベイシックインカム等のようなセーフティーネットを充実させるより他はないのかなと思う次第です。
私の弟夫婦は実家の敷地内に離れを建てて、
そこに住んでいます。
風呂は母屋のを使っていて、
食事も原則両親と一緒に食べています。
食費と水道光熱費は両親が負担しています。
弟にどれだけ収入があるのか知りませんが、
それほど多くはないようなので、
仕方がないと思います。
最近子供が産まれたので、
嬉々として両親は孫の面倒を見ていますよ(^^)
しかしながら、妻は重症悪阻で倒れてどうしようもなくなった時以外は、姑に孫の預かりを頼むことはありません。
核家族以前の大家族の距離感は、今の若者には精神的にキツイでしょう。
一方、マスオさんスタイルの場合は意外と気遣いすることもなく上手くいっているケースが多いです。
乙さんのお気持ちもよくわかりますが、嫁が気を使う機会コストは男性陣が思っているより高いですよ〜。
多くの若者家庭は妻が中心であり、妻がストレスなく家事、仕事、託児のできる環境が望まれます。
おっしゃるように、政府も地方自治体も政策を変える必要があるのかもしれません。しかし、それは現実的でしょうか。
都市への人口流入は、都市部での企業活動の隆盛により労働者不足が起き、一方では、地方では子だくさんの時代だったので、働き手が余っていた(農業では食っていけない)という時代背景があるように思います。したがって、日本の高度成長期には「金の卵」が大量に地方から都市に移動してきたというわけです。
経済活動の効率性を考えると、それぞれの地方に工場を立地するよりも、都市部に集中させる方がよかったのでしょう。
核家族は、そのような日本の産業構造の反映です。
では、今、地方での就業率を上げるべきか。これは何とも判断がむずかしい問題です。個々の企業の経営者の判断の集合として日本の今後のあり方が変わってくるように思いますが、当面の動きを見てみると、地方への産業移転は現実的でなく、それよりは海外移転のほうが好都合なのではないでしょうか。
何よりも、日本の場合、労働者の賃金が高すぎます。地方に移転しても、人件費はごくわずか減少するだけです。
今後、日本では労働者の賃金が上がることは期待できません。その点は同感です。未婚者の増加は、そういう時代の流れを反映しています。
ベーシックインカムのような制度もいいと思いますが、その導入にはさまざまな困難点があり、今すぐにはできそうにありません。未婚者は、毎年1歳ずつ年を取っていくわけで、こちらは喫緊の問題です。
というわけで、個人レベルで今すぐにこの問題に対処するためには、3世代同居が一つの有力な選択肢になってくると思います。
そうですね。
弟さんの生活が目に浮かぶようです。
孫を身近に見ながら生活していくのも、親世代にしてみれば、うれしい話です。
3世代同居よりも「離れ」程度の距離がいいのかもしれません。乙の自宅は、敷地の余裕がまったくないので、実行不可能ですが、気持ちはよくわかります。
徒歩5分でも、やはりやや遠いのでしょう。もう少し近い方がいいのかもしれません。
>一方、マスオさんスタイルの場合は意外と気遣いすることもなく上手くいっているケースが多いです。
夫側が妻側の両親と同居するタイプですね。男性のほうが仕事で家を空ける時間が長いことが多いので、うまくいくのでしょう。
>嫁が気を使う機会コストは男性陣が思っているより高いですよ〜。
確かにそうですね。
乙の場合も、次男が何としても家を出ようとしていることの理由の一つは、嫁の考え方が、乙夫婦とずいぶん違っているというところにあるようなのです。次男は、両方をつなぐ立場にいて、両方ともよく見えますから、その判断はもっともだろうと思います。
結婚すること、あるいは二人で新しい共同生活をはじめることは、やはり本人たちの判断に任せるしかないのでしょう。
ありがとうございます。
>政府も地方自治体も政策を変える必要があるのかもしれません。しかし、それは現実的でしょうか。
「核家族が産業構造の効果(結果、反映)である」という点で私と乙様とは同意です。
そうであるならば、共働き世帯や3世代同居などの家族の形態の変化を国家レベル、地方自治レベルで推進するためには、原因である産業構造を再転換することが必要だと思います。
なぜならば、結果を変えるには、その原因を認識しその歪みを修正すべく改革するしかないからです。
原因を変えなければ長期的には結果は変わらない筋合いです。
例えば、現在のデフレを打破すべく、経済政策として短期的には景気浮揚策を採りながら、長期的な視点で経済成長戦略を打つようなことも同様の思考パターンだと思います。
(講学上デフレの原因を何とするかとの論点については割愛しますが、)デフレを打破するにはその原因である潜在成長率の低下を阻止する必要があるのだから成長戦略を練り直す(政府は何もしないのが最もよさそうですが・・・。)、というわけです。
乙様のように個人レベルで3世代同居を選ぶことはそもそも個人のライフスタイルの問題ですから吝かではないのですが(私も愚息をあえて追い出すようなことはしないとは思いますが)、どうでしょう、それが地方、国家レベルで常態化したところで中長期的な抜本的な解決策となのかどうかと疑問に思った次第です。
以上のように、私のコメントの趣旨は長期的な現実論のつもりでした。
なるほど、「長期的な現実論」と見れば、納得できる議論です。
乙は、今の自分の家族を見て、当面の個人的な判断として3世代同居について考えたわけです。
もっとも、政府や地方自治体が長期的にどのような政策を取るべきかという問題は、さらに一層解決がむずかしい問題のようにも思います。
選挙制度に基づいて政治家を決める以上、数十年先を見据えて政策論争しても一般の多数者に訴えは届かないことが多いでしょう。そんなことよりも、来年の景気を、いや今年の生活を、さらには明日のメシを心配するものです。
政治家は、任期がありますから、まずは任期中に何をするかが重要で、数十年先の議論はやってられないでしょう。
というわけで、おっしゃることはわかるけれども、現実的にはどうしようもないような気がしています。
>政府や地方自治体が長期的にどのような政策を取るべきかという問題は、さらに一層解決がむずかしい問題のようにも思います。
>おっしゃることはわかるけれども、現実的にはどうしようもないような気がしています。
国民や政治家の選挙における心理バイアス等を承知の上で、「難しい」問題、「現実的にはどうしようもない」ことだからこそ、あえて乙様の(長期的な)ご見識をお聞きしたいと思っております。
おそらく難しいだのどうしようもないだのといいながらやり過ごしてきた結果が我が国の現状なのだろうと思うからです。
誰もが目先の計算が効かなくなる時がおそらくすぐそこまでやってきている、だからこそ「(学者や評論家だけに任せず)どうぞ大きく語りませんか?」という提案を致したい次第ですが、ご容赦下さいませ。
失礼致しました。
<国民や政治家の選挙における心理バイアス等を承知の上で、「難しい」問題、「現実的にはどうしようもない」ことだからこそ、あえて乙様の(長期的な)ご見識をお聞きしたいと思っております。
<おそらく難しいだのどうしようもないだのといいながらやり過ごしてきた結果が我が国の現状なのだろうと思うからです。
困りました(笑)。
乙は長期的な見識を持っていないからです。
実際のところ、仮にそういう見識があったとして、それを実現できないだろうと思っていたら、持っているだけじゃまな気がします。
理想は、やはり実現しようという強い意志がともなって初めて意味のあるものとなります。そうでなければ単なる妄想と何ら変わりません。
そして、日本の政治状況を見る限りにおいて、どんな理想であれ、そのような理想が実現される可能性はあまりにも低いと感じます。
日本の政治なり、今後の日本の進路なりのことを論じ出せば、たとえば、憲法のあり方や自衛隊のあり方は最低でも考えておかなければなりません。
その上で、さまざまな政治的理想と現実とのギャップを埋めるような政策を行っていくことが求められます。一般の人間としては、そこまで考えている時間的余裕がないので、「お前さん、代わりに考えてくれよ」ということで政治家に任せているわけです。
極端にいえば、長期的な理想を持ち、それが語れるということは、その人は政治家に向いているのかもしれません。
現実の社会を前提とするならば、ラディカルなことをいってみても始まりません。
乙は、長期的な展望を語るよりは、日々の生活の中で疑問に思うことを疑問に思い、少しずつ「改善」していくしかないような気分でいます。
いっそ日本の財政が破綻するとかいうことになれば、必要に迫られて大変革が起こるのかもしれません。これは、赤木智弘のいう「希望は、戦争。」ということにつながっていく考え方かもしれません。