2011年01月26日

年金運用機関の GPIF、OECDに怒られる

 乙はまろさんの「投資を楽しむ」というブログで見かけました。
http://stojkovic.blog20.fc2.com/blog-entry-2092.html
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が OECD のレポートで、怒られているというわけです。
 出典の文書
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/insurance_pdf/20101222gpif.pdf
も一読しましたが、確かにそのようです。
 GPIF は、もともと国内債券の比率が高かったのですが、現在も7割ほどを占めています。
 損をしないようにリスクを小さくするということで国内債券の比率を高めるというストラテジーなのでしょうが、乙も、国内債券7割というのは安全性を意識しすぎのように感じていました。
 なぜそうなったかというと、OECD がいうように「厚生労働省が GPIF の統治主体の一部機能を担っている」ためでしょう。
 年金は年金で、政府ではないのですから、時の政府の方針で投資先などを決めるというのはおかしな話です。組織体としてどうあるべきか、どうするべきかはきちんと議論する必要があります。
 国債が異常に多いのは、GPIF の資金で国債を買い取ることで、国債の未達→国債金利の上昇→日本の財政破綻 を防ごうとしているかのようです。
 世界的にも有数の資金量なのですから、どのように運用するべきか、よく考えなければなりません。そして、よく考えるためには、今の組織体のあり方でいいのかというところから始めなければなりません。
 乙は、OECD の提言が妥当だと考えています。
 ま、国民はそんなことに無頓着で、どうでもいいと思っているように見えるのが問題なのですが、……。
ラベル:GPIF OECD 年金 債券
posted by 乙 at 04:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 投資関連の話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>損をしないようにリスクを小さくするということで国内債券の比率を高めるというストラテジーなのでしょうが
 今後積立金が増えにくく株式比率を増やして将来毀損した場合、損失を取り返すのは大変に思います。なので安全性を重視すると、自国の国債ほど安定したものはないので、比重が大きくならざるおえないと思います。
 OECDが起死回生の案を持っているのであれば聞いても良いですが、今回は参考になりますという程度で良いような気がします
 株式や不動産の比重が大きい年金積立基金でカルパースがありますが、2008年時の運用成績は−27.8%という散々なものでしたし。
http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2011/1q/MFA120110125.html

 今の年金は確かに利回りが物足りません。これは日本自身が経済成長していないことに問題があります。経済成長しなかった誤算があった以上、想定通りやろうとすれば所得代替率を下げる、保険料を増やすなどで修正するしかないです。

>年金は年金で、政府ではないのですから、時の政府の方針で投資先などを決めるというのはおかしな話です。
>世界的にも有数の資金量なのですから、どのように運用するべきか、よく考えなければなりません。
 そのとおりですね。年金運用をGPIFという組織がどのように決めているのか知っている人は少ないでしょう。民間が無関心になりやすいのも問題です。厚生省の意図が絡む試算は毎回誤算が出ていますから、民間が関心を持ちやすいように組織や制度を改めたほうが良いと思います。

 ただどういう形にすればいいのというと、なかなかいい案が思い浮かばないのですが。どこかに参考になりそうなものがあれば良いのですけど。
Posted by telesienna at 2011年01月27日 19:00
telesienna 様
 以前、新聞記事でも見かけましたが、GPIF が損失を出すと、新聞が騒ぐのですね。
 そんなのは、放っておけば、いつかは回復することが多い(必ず回復するとまではいえませんが)ので、気にする必要はないのです。
 実際、運用がうまくいっても、新聞には載ることがありません。
 読者は、新聞社という偏った存在を通してしか社会を眺めることができないのです。
 ネットが発達しても、基本的な構造は似たようなものでしょう。
 運用のプロの意見を聞いて、いろいろ考えるべきでしょう。もっとも、「プロ」がいつも正しいとはいえませんし、変なことを計画すると、いつの間にか詐欺師が紛れ込んでしまうこともあるので、要注意ですが、……。

>厚生省の意図が絡む試算は毎回誤算が出ています

 試算の種類によると思います。高齢化の予測などはきちんと予測できます。出生率の予測は、いつも「誤算」ということで、これは厚労省の意図的な誤算でしょう。
 年金の資産運用は、リスクがあるので、何ともいえませんが、そういう場合の(結果を見ての)「誤算」は誤算でも何でもない場合が多いように思います。
Posted by at 2011年01月27日 21:41
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