2006年06月10日

藤巻健史(2004.7)『藤巻健史の「個人資産倍増」法』講談社+α文庫

 乙が読んだ本です。
 乙が以前読んだ、藤巻健史(2005.11)『直伝 藤巻流「私の個人資産」運用法』講談社
http://otsu.seesaa.net/article/16834359.html の前に書かれたものですが、それぞれにおもしろく読みました。ただし、一部の記述が重なっていますが、これはやむを得ないでしょう。
 第1章「日本経済の未来は非常に明るい」では、藤巻氏の楽観的予想が書いてあります。もちろん、単なる予想ではなく、根拠を持った予想ですが、読んでいていい気分になります。p.37 には、ドル建ての日本国債を発行するべきだということが書かれます。乙はこの発想に驚きました。言われてみると、なるほどという面があります。
 第2章「為替が日本の国際競争力を左右する」で、日本の経済を考えるときに、いかに為替が大事かということが説かれます。まさに同感です。
 第3章では、「自分で考えるための情報収集&分析ポイント」ということで、10個のポイントについて説明されます。その3番目ですが、「信頼できると思う人のコメントを継続フォローする」とあります。確かにいえます。そして、p.66 では「もっぱら過去の分析ばかりしている人は、追っかけの対象からはずしてしまうことが必要だ。」とあります。乙は、「オール投資」をはじめ、過去の分析が好きなのですが、そういう人は藤巻氏から信頼できないと言われてしまったような気がして、残念です。
 第4章「マーケットは誤解に満ちている」では、為替・日本経済・海外経済に分けて、それぞれでよくいわれる「誤解」を正しています。ここは、乙が一番おもしろいと思ったところです。p.95 では、p.37 と同じく、「ドル建て短期日本国債」の発行が説かれます。
 第5章「よくわかる経済・金融の基礎知識」は、他の書籍との重なりがあるところですので、藤巻氏の著書を読んでいる人なら、スキップしてかまいません。
 第6章「資産運用の大原則13ヵ条」は、投資家に対する具体的なアドバイスになっています。p.190 からの第9条では「個人投資家はマーケットリスクのみを取れ」ということで、アルゼンチン国債のようなケースがあるから、個人はけっして信用リスクの高いものに手を出すべきではないといいます。これを敷衍すると、海外ファンドなどは、信用リスクが高い(どれくらい安全確実か、見極めることはほとんど不可能)ですから、手を出すべきではないという結論になりそうです。(乙は手を出しているので、藤巻氏の言説に反しています。)
 また、p.195 から第10条で「仕組みが簡単な商品ほどよい」ということが述べられています。満期まで一切の解約ができない、流動性リスクが高い金融商品も、個人は避けた方がよいということです。マーケットが崩れ始めたので逃げようと思っても売れないわけです。先物取引やオプション取引を組み込んだ複雑な仕組みの金融商品は、中途換金ができないものが多いということで、手を出さないほうがいいということです。確かにそうかもしれません。乙は、数年満期の金融商品をいくつか買っていますが、万が一、大きな経済変動があったときなど、損失が出ると思います。しかし、乙の考えでは、資産のごく一部であれば、あまり問題にならないのではないかと思います。
 ともあれ、とても読み応えのある文庫本でした。


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posted by 乙 at 06:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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