東京電力管内では計画停電などが予定されているからです。
これに関しては、電気料金値上げや電力消費税を導入するべきだという議論があり、
2011.3.17 http://otsu.seesaa.net/article/191049323.html
また、電気料金の値上げは基本料金で行うほうがよいというアイディアもありました。
2011.3.23 http://otsu.seesaa.net/article/192040976.html
鈴木亘(2011.3.28)「市場メカニズムを活用すべき電力不足対策」
http://synodos.livedoor.biz/archives/1720131.html
は、電気料金に関してピークロード・プライシングを提案しています。使用量のピーク時の電気料金を上げようという提案です。 まずは「企業に対して、季節別・時間別・業種別のピークロード・プライシングをはじめることが現実的である。」として「これにより、ピーク時とオフピーク時の料金差は10倍以上となる」と述べていますから、企業の電気料金に対して相当な大差を付けようという話です。
このくらい差が大きくなると、企業としては何とか対策を考えるでしょう。真夏の午後を休みにして、深夜早朝の勤務を増やすなどというのでもいいかもしれません。どうするかは各企業が考えるべきことです。
電車の運賃なども、混雑時の割増料金でピークの混雑率を下げようという話がありますが、今回のようなことでは、夏の暑い時期の日中の割増料金などが登場するのでしょう。冷房の効いた車内で快適に移動するためにはそれなりの料金を払わなければならないわけです。
個人も、夜間電力と昼間電力で数倍違ってくれば、自宅の電気料金を下げるべく努力をするのではないでしょうか。
鈴木氏の議論は、こういうことを通して、効率の悪いゾンビ企業に退場してもらおうというところまで考えてある点で興味深いものです。こういうアイディアも至急検討されるべきでしょう。
鈴木氏は「さらに、夏場の対策として、政府が安易な計画停電や総量規制の導入を口にした背景にも、東京電力や経済産業省の官僚たちの隠れた意図や暗躍があるように思われる。」と述べていますが、もしもこういうことがあるなら、ピークロード・プライシングが検討されることはありません。
それにしても、計画停電は、われわれがいかに電気に頼っているかを見事に知らしめました。これも「東京電力や経済産業省の官僚たちの隠れた意図」かもしれませんね。
福島の原発事故の対応として、当面はこの夏の電力不足をどうするかが大問題ですが、実は、その先、数年先とかそれ以上を見越して、首都圏の(東北地方も同様でしょうが)電力供給はどうあるべきかというより根本的な問題があると思われます。原子力に頼るのか否かというのもそのような大問題の一つでしょう。
乙は、電気使用量が増えることは、そこに住む人たちそれぞれの判断の結果であり、我々がそういう生活を(数十年にわたって)選んできたという意味で、十分な電力が生活に必要なことであり、今後もその傾向は変わらないのではないかと思います。ですから、数年先まで見越しても、原発に頼らざるを得ないでしょう。原発のこれからの新規設置は困難を極めるでしょうが、そちらを向くしかないように思っています。
原発反対を主張するのは簡単ですが、では、原発を作らないことによる電力不足をどうするのでしょうか。他の手段による発電量を増やすか、電力の消費を押さえるかしかありません。前者でいえば、太陽光発電などかなりのコストがかかりますから、電気料金を値上げすることになりそうです。後者も、電気料金を値上げすることで実現するしかなさそうです。
このようなことを考えると、電力供給をどう考えようと、長期的に見て電気料金は上げざるを得ないと思います。
ピークロード・プライシングはその一つの手段ということになりそうです。
なお、ゆうきさんのブログ「ホンネの資産運用セミナー」
http://genuinvest.net/?eid=1516
では、以下のような批判があるとのことです。
非効率で不公平な計画停電をやめて電気料金の値上げで対応すべきという話が出る一方、電気料金の値上げは被災者への負担になる、そもそも事故を起こした東電にこれ以上払いたくない、という批判も出ている。
被災者の負担は別に手当てするべきで、被災者を料金値上げの対象外にするのは複雑な手続きが必要です。別途しかるべき支援策を考えることにして、電気料金は例外にする必要はないと思います。また、事故を起こした東電に、これ以上払いたくないという気持ちは理解できますが、実際にそうすることは無理です。東電から電気を買わない限り生活ができません。現代では電気ゼロでは十分な生活ができないし、自家発電などしても、結局コストが高く付きます。東電以外から電気を買うこともできません。料金値上げの話は、事故を起こしたこととは別に、これからの電力の供給をどうするかという問題です。
重要なことは、電気料金の値上げ分が東電のふところに入るのでなく、被災地の復興支援なり何なりに回せるようなしくみを作ることです。それこそ国会議員たちの仕事ではないでしょうか。
参考記事:
http://www.shinoby.net/2011/03/post-2366.html
そもそも、批判精神に富む乙川さんが「東電から電気を買わなければ生活できない」制度を是とされていることが、私には不思議です。そのような独占企業としての驕りが今回の事態を招いた側面は否定できないでしょう。計画停電等のアナウンスの仕方を見ても、とてもユーザサイドに立った振舞いとは思えません。
今の急場のしのぎの話とは別に、発送電を分離して、競争環境を整備した方が、長期的なコストは下がりそうな気がします。
>「東電から電気を買わなければ生活できない」制度を是とされていることが、私には不思議です。
私には、あまりにも当然のように思えます。
我々はどこかから電気を買うしかないわけで、都内に住む人間だったら、東電しか選択肢はないと思います。
代替手段が何かありますか。
発送電分離をはじめ、いろいろなアイディアがあることは承知していますが、当面、東電しかないと信じています。
長期的には、違った考え方も可能かとは思いますが、それまで原発を抱えながら生活していくしかないのではありませんか。
東京在住ではなく福島在住であっても、一貫して同じ意見は主張できますか?
今の自分の環境にとってはその方が都合が良いと言っているだけなら、あたかも客観的な意見であるかのような書き方をすべきではないと思いますが。
基本は経済合理性です。
放射性物質が拡散して、何人死人が出たのでしょうか。それを考えるべきです。
福島在住であっても、原子力発電が必要であるという主張は同じです。日本で使う電気を得るためには、国内のどこかで発電するしかありません。
しかし、乙の自宅の隣に原発ができるという場合は、無理に今の自宅に住まずに、遠方に引っ越すと思います。
社会としての判断と個人としての判断は別です。
>通りすがりさん
どう考えても今の日本の現状では原発に頼らざるを得ないでしょう。被害も出ていますが、いきなり脱原発で電力を供給不足にはできません。
放射性物質で汚染されている地域の被害もわかりますが、電気が来ないことで命の危機にさらされている人がいることも忘れないでください。医療機器の停止は死活問題です。猛暑で電力不足になればエアコンが止まって暑さで亡くなる人が何百人と出てきます。(数年前にフランスでは熱波で1万人以上が死亡しました。ヨーロッパ全土で5万人以上だったはず)
他にも電力不足となれば経済活動が停止し、職を失って自殺する人やお金がなくなって健康を害する人も出てきかねません。
放射線汚染は怖い話ですが、それを回避するためにほかのすべてを犠牲にしていいものではありません。
同じ理屈でいえば、「電気供給不足で生命が危機におかされている深刻な現状に言及せずに、原発反対を主張するのも同時にとても簡単だと思います」というところでしょうか。
乙のいいたいことを代わりに述べてくださったようで、まことにありがとうございます。
先日、テレビで「ガイアの夜明け」を見ていたら、自宅で在宅医療を受けている人の話が出てきました。電気で動く医療器具がいろいろあるのですね。痰を取る機械とか、人工呼吸器みたいなものとかです。こういうのを使っている人たちは、計画停電で3時間も電気が来ないと、それこそ命に関わります。
日本社会は「停電がない」ことを前提にできあがっている面が強くなっています。それはそうです。乙の子供のころは停電がありましたが、それ以来、停電は「めったにない」ことになっていますから。
そういえば、計画停電で信号機が止まっている交差点で交通事故があり、死者が出ましたっけ。
原発が恐いという人は多いですが、現実的に人が死ぬことはあまりありません。しかし、停電は確実に人が死にます。どちらが大きなマイナスかと考えれば、答えは明らかなように思います。
横から出てきて過剰反応されても、結論ありきで理屈引っ張り出しのディベートには付き合えませんが、0か1かとは誰も言っていませんよ。
乙様
>放射性物質が拡散して、何人死人が出たのでしょうか。それを考えるべきです。
今回の天災と同じで、10年単位で死者がいなくても一度大きな事故が起これば、計り知れない被害をもたらす可能性があるのか原発だと思います。
何十年死者が出ていないから原発が車より安全だというロジックは成り立たないと思います。
自分の隣が原発なら引っ越すということであれば、死なないとは思っていても健康被害を受けるリスクは高いと考えていることはわかりました。
通勤するサラリーマンは引っ越せても、漁師や農家は引っ越せない訳で、原発建設を拒否する権利もあると思います。
経済合理性という面でも、事故は起こるという前提で将来の補償費を見積もって電気料金に上乗せして比べるべきでしょう。
つまり、将来誰かが原発の犠牲になるという前提を置いた上で、原発推進の合意形成がされるべきだと思います。
何十年か経っても、危険性はわからないと考えたら、経済合理性は追求できないと思います。
将来の補償費を見積もって電気料金を設定するというのは、合理的な考え方です。もっとも、どれくらいの補償を考えるのか、何十年も事故がない場合は、それを会社の利益としていいかという問題はあります。政府がそういう引当金を認めればいいのですが、認めますかね。
将来誰かが原発の犠牲者になるというのはありうると思うし、そうなればなったでしかたがないと思っています。仮に自分が死ぬことになったとしても、そう思います。
飛行機に乗るということは、いざとなったら死ぬことを覚悟しているという意味です。それと同じです。飛行機が落ちることがあると心配する人は、飛行機を利用しないという選択肢があります。
(漁師の場合は引っ越せるかもしれませんが)農家の場合、引っ越せません。だから原発を拒否できるとする考え方もありますが、そうでない考え方もありそうです。ここは意見が分かれるでしょう。
原発反対を主張する方は、訴訟を起こすなりして差し止め請求をするのでしょうか。
そして敗訴したら、農業を辞めてよその土地に引っ越すか、自分の土地で(原発事故のリスクを背負いつつ)農業を続けるかです。これは個人の判断です。
お答えにくいかも知れませんが、できる範囲でお答え願います。
放射性物質が拡散して何人死人が出たら原発反対派になりますか?
確かに答えにくい質問ですね。
今回の事故と関係なく、一般論で、しかも1回だけ事故が起こるとした場合、万のオーダーくらいでしょうか。
原発反対派の方は、
電力料金がいくらまで上昇しても、
原発は廃止した方が良いと思われているんでしょうか?
もちろん、人によって違うのでしょうけど。
そのコンセンサスが十分電力会社がペイする金額であれば、
喜んで原発を止めるのではないでしょうか?
と思ったけど駄目か・・・
原発があっても、電力料金が高くなるのは困る、
と言う人も大勢いるだろうからなあ・・・
>放射性物質が拡散して汚染されている深刻な
>現状に言及せずに、原発賛成を主張するのも
>同時にとても簡単だと思います
こう書かれたのは通りすがりさんだと思います。このように一方の主張だけで意見を言うのがおかしいという人が、原発の恩恵を受けている人が電力が不足することで困っている深刻な現状に言及しなくていいのですか?
「原発事故の危険性」だけに焦点を合わせて意見を出すのは「結論ありきで都合のいい理屈引っ張り出しのディベートではないのでしょうか。
いろいろな考え方があると思います。
大いに議論した上で、今後の方策を考えていくべきでしょう。
本来、そういう議論をするべきなのは議員であるはずです。しかし、どうにも議員たちが信用できないような面があります。
一般人も、議員に任せるだけでなく、自分たちでよく考えて、今後の日本のあり方を考えていきたいと思います。
原発賛成の意見にしても、何も、すべて原発だけでまかなおうとしているわけではないと思います。そういう集中型の考えは非常に危険です。
さまざまな発電手段を考慮し、また実施していく一方で、メインの供給手段をどうするべきか、原発を増やすのか、減らすのか、われわれの生活がどうなる(どうする)のかを考える必要があります。