2006年06月18日

藤巻健史(2003.10)『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』(光文社新書)光文社

 乙が読んだ本です。
 末尾には「本書は『藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義』上、下の2冊を合本とし加筆修正したものです」とありますから、実際に書かれたのはもう少し古いのでしょう。
 最初に「この講義録は、6日間に亘り3時間ずつ講義したものを本にまとめたものです。」とあります。本文を読んでも、それが感じられます。これがいいか悪いかはともかく、乙は、やや読みにくいように思いました。録音文字化した講義内容に手を入れたのでしょうが、もう少し本格的に手を入れてしまった方が、読む人間にはわかりやすかったのではないかと思われます。
 しかし、内容は濃く、為替、短期金融、長期国債、金利スワップ、オプションのそれぞれについて、実際にトレーディングしてきた人の立場から徹底的に実践的に解説されています。今までにないスタイルの本のように思います。こういう本が書ける藤巻氏はものすごい人だと思いました。
 本書の内容を簡単にまとめることはとうていできません。実際に読んでみるしかないと思います。
 その中で、乙がおもしろいと思ったことを3点だけ抜き出しておきます。
 p.255 で、日本政府の大きな財政赤字に言及していますが、藤巻氏は「国が破産するとか、徳政令をやるとは私も思っていません」と断言し、その代わりに超インフレを起こすだろうと予想しています。乙も、たぶんこれが現実的な政策だろうと思っていましたが、伝説のトレーダーがこう判断しているということで、心強く思いました。
 pp.367-371 では、住宅金融公庫や郵便局の定額貯金は、利用者にオプションを与えていることと同じだという話が出て来ます。これは、乙には新しい見方で、刺激的でした。なぜこれらの商品が有利なのかを見事に説明しきっています。(今は、状況が違ってきていますから、必ずしも当てはまるわけではありませんが、説明としては今でも有効です。)
 pp.406-423 では、ヘッジファンドの話が出て来ます。ヘッジファンドは、運用者の儲けが大きく、やりたい(投資したいのでなく運用したい)人が多いということです。それはそうでしょう。それに加えて、ヘッジファンドは運用者が自分の金を入れて運用するのが普通だということです。さもないと、資金が集まらないのだそうです。まあそれもそうでしょうね。ですから、その点に関していえば、ヘッジファンドは、どういうやり方であろうとも、儲けることを主眼とすることになります。この点は、投資家にとっては魅力となります。しかし、運用者が一時的に儲かればいい(あとは退職するだけ)という場合は、話が違ってきます。乙は、ヘッジファンドでは、運用マネージャーが頻繁に交代するという話を聞いたことがあります。とすると、自分の金を投入しているからといって安心はできないことになります。p.409 では、ヘッジファンドがなぜ情報を外に出したがらないかが説明されます。外部に情報を出すと、「宣伝」とみなされ、「私募」でなくなってしまうんですね。だから、個人がヘッジファンドの情報を集めようと思っても、なかなかわかりにくいということになるわけです。ヘッジファンドは何をどう運用しているのか、簡単にはわからないことが多いのですね。一長一短というところでしょうか。

2008.8.29 追記
 この話に関連する内容を
http://otsu.seesaa.net/article/105661673.html
に書きました。よろしければご参照ください。
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posted by 乙 at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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