著者には申し訳ないけれど、一読して、何も新しいことがないなあと思いました。この本に書かれていることは、乙にとってほぼすべてすでに知っていることでした。「真っ当なもの」というのは、つまりは「当たり前のもの」であり「平凡なもの」ということなのでしょう。
この手の本は昔からたくさんありました。本屋さんで手にとって立ち読みすれば、だいたいの内容がわかりますから、買う必要はないと判断できるはずです。
乙は、ネットの古本屋でタイトルだけを見て購入しました。値段は忘れましたが、とにかく安かったので、あまり損した気分はありません。(自分の時間を損した気分はあります。)
資産運用に関する本をまったく読んだことのない人が1冊目として読むにはいいかもしれませんが、それだけです。自分で投資を実践している人は、読む必要はありません。ただし、間違ったことが書いてあるわけではありませんから、批判することもありません。当たり前のことが当たり前に書いてあります。
なぜ、ファイナンシャル・プランナーがこのような「平々凡々な」(乙はあえていいます)本を書き、また出版社が出版するのでしょうか。類書がたくさんあるのですから、多くの著者・出版社がこういう本を手がけているのです。乙は、むしろこちらの「なぜ」のほうに興味を持ちました。
「入門書」の必要性は乙も認めますが、だとしたら、その旨をタイトルなり表紙になりに明記してほしいと思います。まあ、ある程度慣れてくれば、タイトルを見ただけで読む価値がないことを見抜けるようになるのでしょうが。
ちょっとおもしろいといえば、第5章の外貨建て商品のところでしょうか。p.178 で国内のインフレ対応のために外貨を持つべきだという意見はおもしろいと思います。神戸氏は、国債残高の急増ぶりに対して解決策はインフレしかないだろうという意見を述べています。乙もそう思っています。また、p.193 で中国株を薦めていますが、買った銘柄の大部分が紙くずになってしまったとしても、一銘柄だけでも何十倍かになっていれば充分元は取れるという考え方などは一つの意見として、おもしろく受け取りました。
しかし、全体として、乙は残念な読後感を持ちました。
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