乙は、すでに藤井氏の著書を3冊読んだことがあります。
藤井厳喜(2005.12)『這い上がれない未来』光文社
http://otsu.seesaa.net/article/16101932.html
藤井厳喜(2004.5)『新円切替----国家破産で円が紙くずになる日』光文社
http://otsu.seesaa.net/article/14475013.html
藤井厳喜(2005.6)『「破綻国家」希望の戦略』ビジネス社
http://otsu.seesaa.net/article/12902166.html
この本は、これらの中間の時期に書かれたものになります。
藤井氏は、2008年に日本は国家破産すると予測しています。そればかりか、2010 年には北朝鮮から日本に核ミサイルが撃ち込まれ、2022 年には中華人民共和国が日本を併合するというのです。(pp.006-009) まあ、これは「悪夢」ということですから、現実になってほしくはないですが、藤井氏はこういうスタンスでこの本を書いています。
Part 1 では、日本の現在の国債発行や低金利の異常ぶりを描きます。Part 2 では、国家破産までは「心理ゲームだ」としています。いつかは確実に破産するけれども、それがいつなのかをあてる心理ゲームが今行われているというわけです。サドンデス(突然死)シナリオでは、p.074 で、2008 年までに国家破産が起こるとしています。それを乗り切っても、2010 年以降に持ち越されるだけだというわけです。p.085 から、三つの近未来のシナリオが描かれます。第1はアメリカの経済植民地、第2は中国の属国、第3は海洋アジアの小国です。いずれも暗い未来です。藤井氏は第3のシナリオをもっとも妥当と考えているようです。
Part 3 では、破産国家の例を述べ、pp.126-127 で、国家破産では中流の人間が一番ダメージが大きいことを指摘しています。pp.154- では、日本のデフォールトがどう起こるかを予測しています。いよいよ身につまされます。Part 4 では、「日本再占領」と題して、アメリカがどのように日本を「占領」しようとしているかを描きます。
Part 5 では、ブリックスをどう見るべきかが述べられます。pp.268- によれば、BRICs は数十年単位で考えれば投資先としておトクだということです。乙は、そんなに長く生きられませんから、こういう予測を述べてもらっても意味はありませんが。
全体として、国家破綻(政府破綻)が国民に悲惨な生活を味わわせることを述べた本です。こうなりたくはありませんが、しかし、今の政府のやり方(財政再建を議論していても、ちっとも進まない)を見ていると、もしかしてこうなるかもしれないと思わせます。
こんなことも頭の隅に入れつつ投資を考えるべきだというところでしょうかね。
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