これまたとてもおもしろい本でした。
ただし、橘氏の他の著作を読んだあとでは、記述の重なりがあるところも目立ちます。そういうところは、スキップして読んでもいいと思います。
いくつか、おもしろいと思ったところを抜き出しておきます。
pp.110-116 では、失業保険給付の実態が描かれます。乙にはまったく縁がない世界ですが、いざ、自分が失業する羽目にでもなれば、こういう記述は大いに参考にするべきでしょう。
pp.156-173 では、法人を作って資産運用をするといいという話が出て来ます。乙は、そこまでやるつもりはありませんが、定年後は、どうせ資産運用が唯一の収入源になるので、会社を作る手もあるなあと思いました。ここに描かれた例は、非常に興味深いものばかりです。
pp.194-204 は裏金論であり、会社を経営していると、裏金ができていくものだということがわかります。
pp.205-219 では、税務署の実態が描かれます。裏の事情がわかってみると、「なあんだ」という話がたくさんありますね。
pp.235-241 は海外投資の税金の話です。特に、p.238 で、オフショア籍のファンドの多くが契約型であり、したがって譲渡益は非課税だと書いてあります。乙はこれを知りませんでした。p.241 にあるように、税務署によっては別の処理がなされる可能性がありますが、こういう考え方は知っておいた方がいいでしょう。
全体として、とても有益な本でした。日本社会の仕組みをよく知ることは、黄金の羽根を見つけることに等しいということがよくわかりました。
それにしても、こういう本が書ける橘氏は、すごい人物だと改めて思いました。
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