ETF について、まとまったことが書かれた本として、珍しいと思います。
これ1冊で ETF のことがいろいろわかります。特にアメリカ市場の ETF の話は、乙が知識がなかったためだと思いますが、おもしろく読みました。
そうはいいつつ、ETF について書くだけで190ページもかける必要はあるのだろうかというのが乙の率直な感想です。これで1500円+税はかなり高い感じです。3章の南山氏の具体的な ETF 売買の結果などはカットしてもいいのではないかと思います。
2章では、ETF 投資法について、長期の視点から「ヒラメ戦術」、数日間の短期投資の視点から「オーバーナイト法」、中長期投資の視点から「長期投資準備法」、さらには「定時定数買付け法」の4つを提示しています。そして、3章がそれぞれの運用結果となるわけですが、乙には、「長期投資準備法」がよく理解できませんでした。今後上昇すると考えられる業種があったらそれに投資するということなんでしょうか。これからの株価の上昇がわかるくらいなら、(その業種の最大手の)個別株に投資する方がいいのではないかと思います。
乙は、ETF の性質から考えて、ETF 投資は長期投資家向けかと思っていましたが、そうでない考え方も可能だということはおもしろく思いました。(乙は、そうするつもりはありませんが。)
p.94- では、投資のタイミングも重要だということを述べています。乙も同感です。しかし、そのタイミングをあてることがむずかしいのが現実なんですよね。タイミングは、投資の結果から見れば重要なのだけれども、投資開始時点では確実なことは言えないので、何とも分からないものではないでしょうか。
p.134 では、ETF もボラティリティはかなり大きく、個別銘柄のボラティリティと遜色ないという言い方をしています。乙の経験では、やはり、個別銘柄のほうがボラティリティが大きいと思うし、平均値は、その算出の基になった個別データの中頃の値であることから、理論上も個別の値よりも平均値のほうがボラティリティは小さくなるはずだと思います。ここは南山氏の勘違いではないでしょうか。
ともあれ、ETF について一通りの知識が得られる本だと思います。
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