日経新聞が一番大きく報道しているのは、自社の事件だからでしょうか。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt100/index20060725AS1G2502825072006.html
もちろん、こういうことはあってはいけないことですし、新聞社としても今後こういうことが起きないような努力は必要でしょう。しかし、この事件はそれだけではないように思います。
第1に、乙は金額の大きさに驚きました。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt100/20060725AS1G2502A25072006.html
によれば、「夏以降は取引に拍車がかかり、1日の売買回数が100回以上のこともあった。大半は信用取引。開設していた証券口座は15あり、主に取引していたのは3つのインターネット証券会社の口座で、法定公告を悪用したインサイダー取引はこうした膨大な取引の一部だった。」とあります。
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt100/20060725AS1G2502R25072006.html
によれば、各社の株式計9万4000株を約2億4000万円で不正に購入し、売却益は約3000万円だったとのことです。信用取引は証拠金の3倍まで株が買えるという話ですが、(乙はやっていないのでわかりませんが)それにしても、すごい金額です。ただし、いちどきに2億4000万円の株を買ったわけではなく、容疑者は順次売ったり買ったりして、それらを合計するとその金額になるようですから、8000万円の現金を用意して株を買ったわけではありません。それでも、31歳の若者が多額の資金をどのように工面したのか、疑問が残ります。インサイダー取引を継続してここまで増やしたのでしょうか。だとしたら、不当利益は3000万円どころではなくなります。そして、容疑者は、かなりの期間にわたって継続的にインサイダー取引をしてきたということになります。それがずっと見逃されてきたわけです。
第2に、乙はなぜこの事件が発覚したかを知りたいと思いました。上述の記事によれば、「特捜部は笹原容疑者の単独の犯行とみている。」や「株取引は本人や親族名義でインターネットを通じて行われ、」などの記述があります。個人がこっそりとインサイダー取引を行って、誰にもそのことをいわなければ、たぶん発覚しないのではないでしょうか。
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060726/K2006072507100.html
によれば「実際、社内調査でも、同僚を含めてだれも不正取引に気づいていなかった」ということです。
この容疑者が1日に100回も売買している中で、その一部にインサイダー取引のものを含めるようにしたら、なかなかばれないもののように思えます。(容疑者も、そう考えてインサイダー取引を継続的に行っていたのでしょう。)
なぜ発覚したかは、今後の類似事件の防止とも関わるため、公表されないのだと思いますが、ニュースでは一番大事な(知りたい)点がぼかされているように思います。
第3に、乙は類例がもっともっとありそうな気がします。日経新聞の社内でIDとパスワードを共用していたとすれば、社内で他にも同様のことをやっていた人がいても不思議ではありません。そしてそれは(上述の記事で明らかなように)社内調査ではわかりません。すべては闇の中で行われています。
投資の問題と絡めていうと、こういうインサイダー取引で儲ける人がいる分だけ、一般の株主は(一人ずつで考えればわずかですが)損失を被っているわけです。日本市場が公正かどうかは、投資家全員にかかわる大問題でもあります。
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