2006年07月30日

Ashmore Emerging Markets Liquid Investment Portfolio

 乙が投資している海外のファンドでは、Ashmore Investment Management 社の Emerging Markets Liquid Investment Portfolio というのがあります。略称は EMLIP です。
 会社のHPは、http://www.ashmoregroup.com/ です。アシュモア社は、1992年設立の若い会社ですが、すでに100億ドルを運用しています。
 ファンド情報は、以下のところに記載されています。
http://www.ashmoregroup.com/info/home/
 このファンドは、会社の設立と同時に運用を開始していることがわかります。一番大事なパフォーマンスは、以下のところにあります。
http://www.ashmoregroup.com/info/performance/index_02.phtml
 このファンドの過去の平均リターンは 20%、標準偏差 15% で、充分満足できるファンドです。レバレッジは 1.5 倍で運用しています。
 投資先は、Russia Brazil Venezuela Mexico ……の債券で、ラテンアメリカが多いようです。中国は含まれておらず、インドはごくわずかです。
 申込手数料は 5%ですが、乙は某ブローカー経由で申込み、手数料を 2% に割引してもらいました。このブローカーは、たぶん全員に対してそうしているのでしょう。ということは、ブローカーごとに申込手数料が変わってくるということです。となれば、なるべく安いところで申し込みたいところですが、それを見極めるのはなかなかむずかしいと思います。特定の金融商品について複数のブローカーの申込手数料を比べるのは面倒です。
 信託報酬は 1.25%+0.25%=1.5%、成功報酬は 15%以上のリターンのときに、その25% ということで、高めの報酬体系です。
 乙は、2006年2月に投資開始ですので、まったく成績はわかりません。上がってもいないけれど、下がってもいない状態です。乙は、今後を楽しみにしています。当然、長期運用のつもりです。

 さて、7月下旬になって、乙のところにファンド会社から手紙(7月21日付け)が来て、報酬を2006年12月1日から変更するとのことです。信託報酬が 1.5% から 1.75% になり、成功報酬は 6% 以上のリターンのときにその 20% となる予定です。単純に見れば報酬が増えると言っていいでしょう。過去の平均のように、毎年 20% のリターンを出したとすれば、成功報酬は、今までの計算法では (20-15)×0.25=1.25% ですが、新しい計算法では (20-6)×0.2=2.8% となります。固定手数料部分の信託報酬の増額と合わせて、全体としてかなり大幅な増額といえるでしょう。
 報酬の増額の理由が(以下、英語の手紙の乙による訳ですが)「他のファンドとの相対的なパフォーマンスと比べて、市場で充分競争できるためには、ファンドマネージャーの金額がずっと低いままではまずい」ということです。報酬が低いままではファンドマネージャーが逃げ出してしまい、優秀な人材が確保できないというわけですが、どうもあまりふさわしい理由ではありません。「他のファンドが高い報酬を取っているから我々も同様に取りますよ」というだけです。
 乙の見方では、「計画では、毎年 15% 以上のリターンがあると見込んで、それを越えたときに成功報酬が高くなるように計算法を決めたが、運用してみると、とてもそんなには到達できないことも多く、6% 以上ならば達成できるから、成功報酬を安定的にもらえるようにハードルを下げた」ということです。つまり、過去の平均 20% のリターンというのは、これからしばらくは達成できないとファンド会社が認めたようなものです。
 乙は、このことを理由に現在このファンドを解約するつもりはありませんが、今回の変更によって、このファンドの投資家サイドから見たパフォーマンスが低下するのは明らかですから、注意して見守りたいと思います。このファンドは、リスク(標準偏差)も比較的大きいので、たとえば2年連続して好成績が挙げられなかった場合は解約するというような方針でもいいかもしれません。申込手数料が2%だったことは、結果的に解約しやすいことにつながり、ありがたい話でした。
 ちなみに、報酬の変更は、8月14日開催のファンドの参加者の臨時総会(extraordinary general meeting)によって決められるとのことで、欠席者は委任状(form of proxy)を書くようにという連絡がありました。投資金額とチャネル諸島のガーンジー島までの旅費を比べれば、会議に出席するのはコストがかかりすぎますから(一部の多額投資家を除いて、世界中の投資家のほとんどがそうだと思いますが)、会議には欠席することになるでしょう。しかし、すなおに委任状を書くかどうか、判断がむずかしいところです。乙は迷っています。
posted by 乙 at 04:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 海外ファンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。シギーです。この会社のMBOする前の会社の東京で働いていました。EMLIPは懐かしいです。1992年設立の
年からマーケティングして日本の機関投資家に売りました。個人向けなのか手数料が
高いですね。
Posted by シギー at 2006年12月02日 00:27
シギー様
 コメントありがとうございます。
 そうなんです。手数料が高いんです。
 こんなに高くても、今までのように好成績が出せるのかどうか、注目しています。好成績が続くなら、このくらいの高い手数料でも特に問題とは思いません。
 しかし、下がりはじめたら、目も当てられなくなります。逃げ出すタイミングが大事ですね。
 もともと機関投資家に販売していたのですか。そのほうが大量の資金を集めるにはいいですよね。ただし、手数料はその分安かったでしょうけれど。
 個人投資家向けだと、手数料は高くできても、小さな金額ずつ個別に契約するので、その手間がかかります。どちらがいいかは何ともいえない問題ですね。
 シギーさんの経験談などお聞かせいただければ幸いです。

Posted by at 2006年12月02日 05:57
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