http://otsu.seesaa.net/article/15111327.html
また、すでにこのファンドの仕組みを書いた本について、コメントしたこともあります。
http://otsu.seesaa.net/article/19651675.html
最近、乙のところに第1期の会計報告書および監査報告書が送られてきました。
会計報告書が簡単すぎて、このファンドがこれからも安定的に運営されていくのかどうか、乙には判断できませんでした。ごく簡単な書類で、建物の減価償却がどれくらいかもわかりません。もう少し詳しい書類でもいいのではないかと思いました。ただし、独立監査人の監査報告書が付いていますから、会計の計算を間違えていることはないはずです。
わかる範囲で、減価償却の計算をやってみましょう。
会計報告書によれば、売上高1億6千万円から売上原価9千万円と販売費および一般管理費1600万円を差し引いて営業利益が5660万円ほど出ています。となると、ホテルの減価償却分は1600万円の「販売費および一般管理費」の中に含まれると考えられます。
建物の資産価値は、書類によると5億9千万円ですから、これを建物本体と設備を7:3で按分してみましょう。
建物本体は、47年で価値が1割になってしまう計算で定額法を採用します。すると、減価償却は
5億9千万×0.7×0.9×0.022=820万円となります。新築の建物でなければ(投資対象物件は、リニューアルしていますので、新築でないことは明らかです)、減価償却の計算期間の47年がもっと短くなりますから、減価償却の額が820万円を上回ります。
設備は、15年で1割になってしまう計算で定率法を採用します。すると、改装後1年目ですから減価償却は
5億9千万×0.3×0.142=2512万円となります。
建物本体と設備の減価償却費を合計すると3300万円にもなり、1600万円を大幅に越えてしまいます。ということは、グローバル・ファイナンシャル・サポート株式会社はこれと違う計算をしていると思われます。
減価償却が充分計算されていないとすると、5年経っていざファンドを償還しようとしたとき、建物(厳密にいえば設備のほうが問題ですが)の価値が予想外に低くなっていることがあり得るわけで、ホテルをどこかに売ろうとすると、売値がかなり低くなるということです。つまり、投資家にとって、満期のときに元本がそっくり返ってくるとは限らないということです。
損失額は 1700 万円×5年=8500万円くらいになるかもしれません。ただし、ファンド会社が9000万円を劣後出資していますから、8500万円の損失は全部ファンド会社が負担することになり、投資家側は負担がないとも言えます。
実際、どうなるかは、5年経ってみないと何ともいえません。特に、減価償却の計算とは別に実際の売値が決まることでしょうから、それをどう見込むかで予想は大きく変わってきます。
減価償却の計算のしかたは、ワンルームマンションを買ったときに、業者の人から教えてもらいました。マンションとホテルでは計算のしかたが違うのかもしれませんが、それでも、だいたいの傾向を知ることはできそうです。
減価償却の知識がこんなところで役立つとは思いませんでした。
会計報告書でわかるもう一つの心配は、分配金のことです。
分配する利益が5660万円ほどありますが、出資者に優先配分で 8.4% の利回りにすると、優先出資6億4千万円に対して、5376万円を配分しますから、9000万円を劣後出資しているファンド会社(グローバル・ファイナンシャル・サポート株式会社)には、分配金が 300 万円弱しかいきません。ということは、ファンド会社としては、3% 強の利回りになってしまいました。
初年度は、ホテルのリニューアル期間中の営業休止日も多かったし、あまり利益が上がらなくてもしかたがないのかもしれません。2年目からは営業休止もないし、たぶん利益率が改善されるのでしょう。
ファンド会社も安定的に収入を上げるようでないと、先が思いやられますからね。
2006.12.14 追記
レジャーホテルファンドについては、
http://otsu.seesaa.net/article/29589329.html
でさらにコメントしました。
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