2006年08月08日

浅川夏樹(2004.8)『わたし、かわいいお金を海外投資でふやしました。−銀座ホステスの華麗なる資産形成術−』実業之日本社

 乙が読んだ本です。
 表紙(のカバー)には色っぽいイラストが描いてあり、帯には「花のいのちは短くて──。」などと書いてあります。「ホステスの書いた本だから、遊びの本かな。」などと思ってはいけません。読み始めると、びっくりします。本格的な投資の本です。「ホステス」というのは、偽の姿で、本当は証券マンが匿名で書いているのではないかと思うくらいに、浅川氏はいろいろ調べ、投資を実践し、その経験に基づいてこの本を書いています。浅川氏は、ホステスでありながら、一方では自分のお店を持ち、その運営のために自分で法人を設立して、その代表者を務めているという多才な方です。
 第1章では、浅川氏が総合的に活躍している人なんだということがわかります。今までの失敗談を含めて「来し方」を描いています。
 第2章では不動産投資について述べます。不動産投資は(J-REIT を含めて)個人では行わず、法人の事業として行うようです。この方針決定の裏には、浅川氏の冷静な判断があります。
 第3章は、さまざまな金融商品について述べます。浅川氏はさわかみファンドへの投資や株のオプション取引まで行っています。p.82 には、浅川氏のポートフォリオが出ていますが、分散投資のようすがよくわかり、参考になります。
 第4章は、エマージング投資ということで、中国株・インド株・ロシア株のおもしろさについて語ります。
 ページ数ではここまでで約半分ですが、まだ海外投資の話ではありません。
 第5章で、やっとオフショア投資の話になります。オフショアに口座を作り、さまざまな商品に投資します。pp.168-169 のヘッジファンドの注意点はおもしろかったです。2002年には300のヘッジファンドが解散し、新たに1200が設立されたなどと聞くと、なかなか大変なんだなあと思います。乙の知らないところで、解散・破綻があるんですね。人気が出たヘッジファンドのパフォーマンスが下がることはよくあるとのことですから、乙のように大きくて有名なところに投資するようではダメなんですかね。
 第6章は、「おいしい話には裏がある」と題する章で、乙はここが本書中で一番おもしろく思いました。pp.194-198 では、無料のサービスではいいものに巡りあわないから、自分で調べるか、専門のスタッフを雇って時間と能力への代償を払うべきだというようなことが述べられます。耳が痛い話です。成功者とはどういう人か、考えさせられます。
 第7章は、「わたしを支えてくれる人たち」という章で、浅川氏の人脈をいろいろ書いています。実に広い人脈をお持ちで、うらやましい限りです。ホステスならではの人脈なんでしょうね。
 タイトルとちがって、半分は海外投資の話ではありませんが、しかし、海外投資をするには、やはりその前に国内での投資を経験しておく必要があると思います。その意味で、本書の前半はけっして不要なものではなく、むしろ付いていることが望ましい部分です。タイトルは編集者のほうで付けたのですかね。副題のほうがむしろ本書の内容を一言で表しています。

 読み終わった感想を一言で述べれば、浅川氏は本当に頭のいい方であり、また努力家です。ホステスという立場を生かしてすばらしい人生を歩んでいる方だと思います。
 乙は、一度実際にお目にかかって、海外投資の話をうかがいたいものだと思いました。もっとも、安サラリーマンとしては、とうてい銀座のクラブには行けませんけれど。
 なお、乙は、本書を1年ほど前に購入して読んだのですが、そのときはすごい本だと思いました。今回、改めて読み直してみたら、そんな印象は持ちませんでした。たぶん、乙の側の知識が増えたためだろうと思います。となると、ここからは一般論ですが、本の感想を述べることはむずかしいことになります。客観的な感想なんてありえません。すべては、読んだときの読み手の知識や考え方によって、変わって受け止められるということです。当たり前のことですが、実感しました。
 興味のある方は、浅川氏のサイト
http://kaigaitoushi.com も訪問してみるといいでしょう。メールマガジンなどもあります。
 http://blog.business-i.jp/asakawa/ は、浅川氏のブログです。


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posted by 乙 at 04:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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