2006年08月12日

北村慶(2005.10)『外資ファンド 利回り20%超のからくり』PHP研究所

 乙の読んだ本です。
 タイトルに引かれて買ってしまいました。
 第1章では「企業買収ファンド」の仕組みを解説しています。第2章は「企業再生ファンド」の話です。第3章は「不動産ファンド」を扱います。いずれも、個人のゴミ投資家が手を出せるものではないので、話を知っていれば充分です。それにしても、こんなことで年利20%超が達成できるんですね。
 第4章は「ヘッジファンド」ですが、ここは、個人も投資できるようになってきたので、注意深く読みました。
 第5章「歪み」、第6章「レバレッジ」、第7章「分散効果」、そして第8章「ファンド・カルチャー」で、投資ファンドがなぜ高利回りを実現できるのか、そのテクニックを具体的に説明しています。
 第9章と第10章は、「ファンド資本主義」の話題で、投資ファンドが大きな影響力を持ち始めたことで、社会が変わっていくのではないかという話です。
 乙は、ヘッジファンド関連の話題に一番興味がありました。いろいろ興味深いことが書いてあります。
 p.13 今や、年金基金などもオルタナティブ投資に乗り出しているんですね。まったく同じ意味で、個人投資家も、自分のポートフォリオにヘッジファンドなどを組み込んだ方がいいのではないかと思います。
 p.113 ヘッジファンドの定義が出てきます。(1)レバレッジを活用していること、(2)私募(プライベート)な組織形態、(3)成功報酬制、の三つです。妥当な線でしょう。
 p.121 年間に数百というヘッジファンドが破綻あるいは解散し、1000本近いヘッジファンドが新たに生まれる世界だとのことです。浅川さんの本
http://otsu.seesaa.net/article/22071367.html
にも出ていましたが、すごい話です。
 p.123 ファンドマネージャーも、ずっと利益を出し続けることはできないということです。だからファンドマネージャーの入れ替わりが激しくなります。ずっと生き残れるファンドマネージャーはいないのではないでしょうか。厳しい世界です。
 p.200 ファンドマネージャーと投資家との出会いが重要だという話です。お互いに信頼できることが必要だからです。ということは、ヘッジファンドなどは、もともとゴミ投資家には無縁の世界であり、一部の富裕層だけがまともに相手してもらえる存在だということになります。
 p.232 小規模の資産運用会社のほうが好成績を残すという話です。ということは、大規模な会社に資金を預けても、あまり成績は良くないということになります。
 p.237 今や年金基金・銀行・生保などがオフショアの「投資ファンド」に流れているという話です。

 全体にわかりやすい本でした。統計学的な説明もとても丁寧にしてありました。
 ただ、高利回りの「投資ファンド」が、富裕層だけを相手にしていて、クチコミでしかそういう話が伝わっていかないという話はちょっとショッキングでした。それでは、ゴミ投資家は何もするすべがないではありませんか。ただ、悔しいといって歯ぎしりするだけになってしまいます。ということでは、ゴミ投資家でも投資できるような最低投資金額のファンドには、もう少し積極的になってもいいかななどと考えてしまいました。
 ともあれ、ヘッジファンドがどうやって儲けているのかをきちんと知りたい人にはお勧めできる本だと思います。
 北村慶氏のサイトも訪問してみるといいかもしれません。
http://kitamurakei.jugem.jp/


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posted by 乙 at 04:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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