2006年08月24日

今井澂・大井幸子(2005.12)『ヘッジファンドで増やす時代』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。
 本書の内容を一言でいえば、ヘッジファンドバンザイということです。本書のタイトルが内容をよく表しています。
 今井氏の書いた第1部のほうは、大井氏の書いた第2部よりもさらに明るい調子で書かれています。
 p.31 では、すでに日本の機関投資家の4割がヘッジファンドに投資しているということです。こんなにも一般化しているんですね。
 pp.61-66 では、今後の日本について、インフレ・円安を予想しています。今井氏は 2008-2010 年くらいからこうなるといっています。だから外国籍投信に投資しようという論法ですが、これは浅井隆氏などの論理と同じです。数年先の予想を述べるところも共通しています。こんなことを言ってしまっていいのでしょうか。
 p.91 では、「いまは「大手ファンドの破綻」危機はない」と断言しています。「100% 近くの確率でありえない」と確信を持って言っていますが、その確信の根拠が示されていません。「大手」とはどの範囲かも明示されていません。「破綻」の定義も書いてありません。投資額の1%を投資家に償還して解散したファンドがあった場合、これは「破綻」なのでしょうか、そうでないのでしょうか。せっかく本を書くなら、単に主張するのでなく、もう少し丁寧に説明してほしいところです。
 大井氏の書いた第2部のほうがずっとおもしろいと思います。
 pp.138-139 では、米国での 2000-2002 年の株価低迷のため、年金などの大手機関投資家がオルタナティブ投資分野へ資金を分散させ始めたとあります。p.140 では、大手機関投資家は運用資金を従来の債券中心の運用からヘッジファンドにシフトしたとあります。p.144 では、年金などの機関投資家はヘッジファンドを全体のポートフォリオの 5-10% 程度組み入れるとのことです。いやはや、ヘッジファンドへのシフトはもう大きな流れになっているんですね。ただし、5-10% というと、比率としてはかなり低い方でしょう。やはり機関投資家はヘッジファンドはリスクが高いと見ているのでしょう。
 pp.159-166 では、ヘッジファンドのベンチマークの話が出て来ます。こうしてヘッジファンドを評価しようということです。年金の資金などが入ってくることで、こんな傾向になるんですね。p.166 では、年金の運用機関は、受託責任を担うから、ヘッジファンドなどの運用の透明性を要求し、発言力を強めているとあります。これは、機関投資家に好都合なだけでなく、年金を受け取る一般の人にも、投資家にも好都合だし、ヘッジファンドにとってもかえって好都合な話でしょう。ヘッジファンドの将来はさらに明るいと予想されます。
 pp.188-193 は、アメリカの大学基金がヘッジファンドを活用しているという話です。p.192 では、大学基金の 1/3 がヘッジファンドに投資しているとあります。さすがにアメリカですね。
 pp.193-194 では、インターネットと投資の話が出て来ます。インターネットで商品を探し、比較し、仲間同士で情報を交換し、安くてサービスが良いところから買うことが一般化していますが、投資の場合も同じだということです。今後の金融業界は、さらに投資家にあった商品開発をするようになるでしょう。

 こういう本を読むと、自分もヘッジファンドに投資しようという気になります。しかし、残念なことに、多くのヘッジファンドは最低投資金額が高いので、ゴミ投資家は手が出せません。逆に言うと、この本は富裕層向けに書かれているということになります。本書のあちこちに、そういうニュアンスのところがあります。
 一般人にとっては、ま、こういう世界があるということを知るだけでも興味深いと思います。


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posted by 乙 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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