http://otsu.seesaa.net/article/22817145.html
の続きです。
FP 社のファンド・オブ・ファンズは、会社のほうで数千種類のファンドの中から109種類に選択肢を絞ってくれるのですが、一般投資家にとっては、109種類のファンドから実際の投資先として適切なファンド10種類以下を自分で選ぶことさえなかなかむずかしいことでしょう。
しかし、実は、そこにも日本人のアドバイザーを付けることができます。全体資産(初期口座+貯蓄口座)の 1.5% を年間手数料として払うと、アドバイザーが適切な投資判断をして、ファンドの選択などをしてくれるとのことです。ただし、投資家のそれぞれごとにポートフォリオを変えるのではなく、アドバイザーを依頼する投資家全員が同じポートフォリオを共有することになります。いわゆる一任勘定というヤツです。
ファンド・オブ・ファンズが手数料の二重取りですから、アドバイザーを付けると手数料の三重取りになって、コストがさらに高くなってしまいます。
乙の考え方では、(FP 社にファンドの選択眼がないのと同様に)アドバイザーにもファンドの選択眼はないものと思います。しかし、ランダムに子ファンドを選んでも、それなりの利回りが出るでしょうから、適当に運用していても大丈夫です(投資家からは文句が出ません)し、何か事件があったときに、それに応じて今後の成績を予想して対策を取る程度のことをすれば、気がつくのが遅い一般投資家よりは少しは成績が良くなるでしょう。その意味で、投資家サイドから見てもメリットはありますが、それが 1.5% の手数料に値するかどうかはむずかしいところです。乙の考えでは、そんなに価値はないものと思います。逆にいうと、こういうアドバイザーはおいしい商売だということになります。
某ブローカーの計算のように、15年先の 4400 万円を自己年金のタネ銭にしようという人がいれば、毎年 4400万×1.5%=66万円をアドバイザーに払うことになります。こういう顧客が20人もいれば、アドバイザーは年収1320万円になります。そう考えると、むしろ乙がアドバイザーをやりたいですね。
考えてみれば、1.5% の手数料を払う人は、それを払うことで「安心感」を買っているのでしょうね。それにしても「安心料」は高いものです。
ところで、アドバイザーの年間固定手数料 1.5% ですが、これは成功報酬制を選ぶこともできます。その場合、手数料は総資産の増額分の 20% という計算になります。ハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の計算であるのは当然です。
投資家がどちらでも選べるということは、アドバイザー側から見れば、両者が等価であることを意味します。これに基づいてちょっと計算してみましょう。
固定報酬制では、1.5% をもらうことになりますから、成功報酬制で増額分の20%が全体額の 1.5% になるためには、増額分が全体額の 7.5% でなければなりません。つまり、このアドバイザーは、FP 社のファンドの平均利回りを 7.5% と見込んでいることになります。
16% の利回りを想定しているブローカーは、大アマです。(実は、ブローカーもわかっていて、架空の数字で計算書を書いたのでしょう。今後の利回りは誰も保証していないのですから、これでも許されると思います。)アドバイザーは、正直に、FP 社の期待利回りは 7.5% だと教えてくれました。その程度の利回りならば、充分あり得る話です。というか、自分で適当に運用しても達成できる利回りです。7.5% の利回りから 1.5% の手数料を払って自分が 6% を受け取るというのは、あまりおいしい話ではありません。
以上の検討により、乙は、FP 社のファンド・オブ・ファンズには申し込まず、自分で直接運用する(といってもファンドですが)ほうがいいという結論に到りました。乙の場合、FP 社では、毎月積立はもちろんのこと、一括投資もしないということです。
今回のファンドセミナーは、乙にとって大変いい勉強になりました。FP 社の期待利回りをアドバイザーから教えてもらったことだけでも参加費を払う価値があったと思っています。これで乙は自分なりに FP 社のファンド・オブ・ファンズのしくみが充分に理解できました。
安い料金で参加できる各種セミナーは、今後も歓迎します。次はどこに参加しようかな。乙みたいな人間は、開催者側から見れば、手間だけかかって売り上げに結びつかないから、迷惑なだけでしょうが。
あ、しかし、乙はセミナー会場でここに書いたようなことを発言し会場を混乱させることはありませんので、業者さんはご安心ください。
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投資に興味があり、私も色々な説明会に足を運んでいます。
乙川さんのブログを拝見させて頂いて、大変感銘を受けました。
もしよろしければ、乙川さんが実際に取り組んでいる投資の名称と運用実績を教えて頂きたいです。
具体的には、
「○○ファンド→投資額→運用実績/年率」
といった形で教えて頂きたいです。
サルまねで同じ運用実績が出るとは思いませんが、あくまで参考にさせて頂きたいと思います。
もし、ブログに公表しづらければ、私のメールアドレスに送信して頂きたいです。
※固有名称を挙げるのがまずいのであれば、頭文字で構いません。
是非、お願い致します。
乙のブログでは、具体的な投資金額は(一部例外はありますが)示さないことにしています。
ご了解ください。
○○ファンドという具体名を出すことは可能ですが、種類があまりにも多いので、きわめて大変になってしまいます。そこで、個別の記事にするだけで、全体を俯瞰するような記事は書いていません。
また、運用実績もきちんと把握していないので、書きようがありません。
2008.5.6 http://otsu.seesaa.net/article/95786882.html
というわけで、残念ながら、ご期待に添うことができません。
では、ちょっと視点を変えて質問をしたいと思います。
乙川さんが投資しているファンド全体での利益率は何%くらいなのですか?
これも難しい質問かと思いますが、是非是非お答えいただければと思います。
よろしくお願い致します。
「ファンド全体での利益率」も計算したことがありません。
今まで一度もです。
それは、2008.5.6 の記事に書いた理由からです。
ぜひ他の記事も拝見させていただきます。ありがとうございます。
「すべてクリアー」は言い過ぎです。
そもそも、「納得いかない点が多く」あったという時点で、自分で適切な判断をなさっていると思います。
投資は、自分で納得した上で行わなければならないはずです。
Tさんは、乙のブログを読む前に Aha! だったと思われます。
私も、FPを現在検討中です
香港申し込みと日本申し込みでいろいろ違いがあったりして…
将来の日本脱出を考えてるかたは、いろいろされてるみたいです
私には、そこまでできないかな…