2006年09月07日

ご当地ファンドには投資しません。

 ご当地ファンドというのがあります。特定地域に関連する企業の株に投資しようというファンドです。
 どんな種類があるかと思って調べてみると、
http://www.dir.co.jp/consulting/report/library/fund-consultant/dis-0005.html
のリストにあるように、今は24種類もあるんですね。
 モーニングスター社のサイト
http://www.morningstar.co.jp/fund/anl_view/05_2q/0523.htm
でも、似たような記述があります。
 ご当地ファンドに対しては、いろいろな意見があります。
(1)http://www.tfp.co.jp/fp_column/074.html
は、東京ファイナンシャルプランナーズという団体のサイトですが、「コラム」のページなので、ある個人が担当で書いたのでしょう。その地域の大規模な災害の影響を懸念しています。
(2)タカハシ氏は
http://www.toushin.com/takahashi/2002/taka27.htm
で、ご当地の企業へのパッシブ運用になっていることに疑問を呈しています。
(3)鈴木雅光氏は、
http://www.kindai-sales.co.jp/fa/article/40603/4a.pdf
で、投資対象地域のしばりがきつく、一部のファンドではかなりの外債投資などを含むから、全体的に見て投資に値しないと結論づけています。
(4)南山宏治氏は、
http://www.grosscreate.com/download/20060825.pdf
で、ご当地ファンドの問題点として、以下の3点を上げています。
(1) 「ご当地」となりうるのは、上場企業が多く本社を構える大都市(東京、大阪、名古屋、福岡など)に限定され、地方では数社への集中投資になってしまい、よくない。
(2) 運用対象資産が「ご当地」に限定されない(外国債などを含む)ものがある。
(3) ご当地ファンドはご当地を救わない。単に株主の名前が別の株主からファンドに変わるだけである。

 これらのうち、(3) は要注意でしょう。ご当地ファンドが本当に大きくなって巨額の運用資金を集めるようになれば、そのファンドがどの株を買うかということがそれらの株価を左右する力を持ちます。今のように、マイナーな存在であるならば、南山氏のいうとおりです。
 乙は、ご当地ファンドにあまり魅力を感じないので、投資する気はありません。理由はいくつかあります。上に示した他人の意見にもうなずけますが、他に二つほどあります。

(A) 投資先は、グローバルに探すべきで、応援するべき「地元」がない。
 乙は、自分の出身地の企業に投資したいとは思いません。(愛郷心がないのでしょうか。)また、乙は現在都内に在住していますが、だからといって、都内に本社がある企業を応援したいとも思いません。それらの企業にしたって、周辺の企業とだけ関わっているのでなく、現在は全世界を相手にしたビジネスを展開している例がたくさんあります。だから「地元応援」はそもそも考え方がおかしいのではないでしょうか。
 乙の投資目的は、老後の生活に備えるためであり、地元企業を応援することではありません。
 ある意味で、日本株に投資するか、インド株や中国株に投資するかという問題とも通じます。乙は、日本株を買っていますが、日本人であり日本企業を応援したいからという理由で日本株を買っているわけではありません。乙は現在日本在住であり、日本で仕事をしています。将来的にも日本在住が続きそうです。日本で生活するためには日本円の資産が必要になります。だから、日本株を購入しているのです。
 トヨタ自動車は日本株ということになりますが、実際は、グローバル企業であり、北米などでの儲けが日本よりも大きいので、本当に日本企業かどうか、疑わしいといえば疑わしいのです。でも、乙は日本企業を応援したいからということでなく、トヨタ自動車の経営方針に首肯する面がいろいろあったので、トヨタ自動車の株を買いました。トヨタ自動車の本社がどこにあるかということは無関係です。
 乙は、日本株以上に、インド株や中国株を将来的に有望と見ています。だから、こういうものにも投資します。

(B) ご当地ファンドはインデックス運用に優るとはいえない。
 乙は、インデックス運用が株式投資の主要な方法論だと思います。だとすると、それを上回る運用方法があれば、そういう投資も意味があることになります。どんなものがあるでしょうか。割安株投資や成長株投資、あるいは小型株投資などがその候補になるかもしれません。これを裏付けるデータがいろいろあります。また、CSR (Corporate Social Responsibility) を意識する企業への投資(投資家から見ると SRI (Socially Responsible Investment))なども、インデックス運用を上回るというデータがあるようです。
http://www.asria.org/japanese/sri/market/performance
http://www.ecology.or.jp/se/daiwa/03.html
これらはアクティブ運用として意味があるかもしれません。
 しかし、ご当地ファンドには、そういうデータがありません。だから、世界に目を向ける投資から見たら、ご当地ファンドはまったく魅力がありません。
posted by 乙 at 04:49| Comment(0) | TrackBack(2) | 国内投資信託 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

割安株 投資入門
Excerpt: 割安株とは、さまざまな投資尺度でみて、市場の平均値と比べて割安と判断できる銘柄や過去の株価水準から見て、現在の水準が割安と判断できる株式のことをいいます。
Weblog: 気になる キーワード ランキング
Tracked: 2006-09-09 00:49

ご当地ファンドはオススメできない
Excerpt: 特定の地方や県、地域に本拠地を置く企業に投資する投資信託「ご当地ファンド」が次々と販売されている。つい先日も、野村證券から東京以外の関東・甲信地域の8県の企業に投資する関東・甲信インデックスファンド(..
Weblog: ris
Tracked: 2006-09-20 23:40