投資信託で資産運用をする際のポイントを述べたもので、まじめに書かれており、好感が持てます。
第1章は、序論にあたります。pp.22-34 までノムラ日本株戦略ファンドの批判が書いてあります。一言でいえば、大きいことはダメなことということです。乙も、今なら、これが理解できますが、いざ、2000年初めに売り出された(乙が資産運用をしていた)としたら、買ってしまったかもしれません。それにしても、p.23 にあるように、一人平均で512万円も買ったのですね。すごい話です。500万も集中投資してどうするのでしょうか。いや、多くの人の運用資産額が1億円もあり、500万円は5%にすぎなかったのでしょうね。こう考えないと「平均512万円」の説明ができません。
第2章は、「投資信託の光と影」ということで、株式投信のメリットとデメリットが説明され、合わせて日本的投信の課題が示されます。
p.53 では、株の場合でも、20銘柄もあれば分散投資が可能だという話が出て来ます。単位株数にもよりますが、今はだいたい50万円くらいで1社の株が買えることが多いので、1000万円もあれば、分散投資できることになります。こういう運用もいいかもしれません。
p.74 では、日本は年寄りが投資するから、リスクが取れず、したがって債券型が多くなるという話が書いてあります。なるほど、そういうことだったんですね。もっと若いときから資産運用をはじめなければならなかったのですが、乙も、そういう意識に目覚めたのは遅かったのです。
第3章は、「難しい投信選び」ということで、p.96 には、成績上位の投信の前後の月の順位の変化が示されます。成績上位というのは続かないものなんですねえ。p.104 では、投信会社別の成績について示され、特にどの会社が優れているということもないことがわかります。ですから、投信選びは難しいのです。
第4章は、「インデックス・ファンドを考える」ということで、インデックス・ファンドをすすめています。乙も賛成です。p.142 から、著者の菊池氏の個人の資産運用の話が出てきます。55歳になってからインデックス・ファンドに積み立てることにしたという話です。毎月5万円、ボーナス時に増額して毎年300万円を70歳まで積み立てるということで、大学教官ならでは(70歳まで働ける!)の細く長く生きる考え方がよく現れています。
第5章は、「資産形成のポイント」ということで、長期・継続投資が説かれます。p.162 のグラフによれば、長期になればなるほど債券よりも株が有利であることが示されます。このグラフによれば、長期投資は21年以上だそうです。実に長いですね。21年もじっと保有し続けるのは、ある意味で大変なことです。
本書でいうインデックス・ファンドは、ETF でももちろんいいと思います。ETF を買って、21年以上保有し続けるという方針がお勧めのやり方だということになります。乙もこの考え方が正しいと思いますので、これからだんだんこちらにシフトしていくつもりです。
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