前田和彦(2004.8)『借金国家から資産を守る方法』フォレスト出版
http://otsu.seesaa.net/article/18894635.html
を読んだことがあったので、また、数億円以上の資産のある人向けの本かもしれないと思いつつ、買って読んでみました。すると、今度は、そうではなく、真っ当な資産運用について書かれていました。前著とはだいぶ趣が違っています。
第1章は、未公開株式詐欺やデイトレードの問題点を指摘しています。
第2章は、「人気金融商品」のリスクを指摘したもので、株式投資、外貨投資、債券投資、不動産投資、投資信託(元本保証型投信、毎月分配型投信、外国債投信、外国株投信、ヘッジファンド、J-REIT)などの問題点を述べています。頷ける記述です。
第3章は通貨の話で、資産は、円だけでなく、ドルやユーロも持つようにすすめます。
第4章は、金融商品の選び方(特に外貨建て)を述べたところで、pp.149-167 が一番興味深かったところです。
p.149- 外貨建てMMFのススメです。外貨定期預金がいかに損で、外貨建てMMFがいかに有利かを説明しています。銀行は 0.4% 程度の利益しかない MMF よりも、1.5% 以上の利益が見込める外貨預金をすすめるというわけです。銀行側の利益=投資家側の不利益ですから、どちらを選ぶべきかは明らかです。
p.153- 米国のゼロクーポン債を中途売却することで非課税になる話です。このやり方は、乙も有力な候補の一つと考えています。
http://otsu.seesaa.net/article/23106205.html
p.155- 外国債を買うならグローバル債券を買うことをすすめます。もっとも、5000万円以上とのことですから、ちょっと手が出せませんが。
グローバル債券については、野村證券のサイトに説明がありますが、
http://www.nomura.co.jp/terms/category/bond/global_s.html
普通の債券とどうちがうのか、乙には、どうにもよくわかりませんでした。
pp.156-160 債券のリスクが意外と大きいことを述べます。
p.160 前田氏は、金利10%のトリプルA銘柄の債券(米国債、世銀債)をすすめています。確かに、金利 10% であればいいですが、いつでもそういう状態ではありませんから、むしろ、普段から気をつけて金利が高いときをねらうようにするしかないのかもしれません。
pp.161-164 ハイイールド債投資のススメです。投資のタイミングも書いてあって、乙には大いに参考になりました。
pp.164-167 ベトナムファンド、中国ファンド、インドファンドの話です。いずれも長期に保有すればいいだろうという話です。
第5章は、海外口座活用法と相続や税金への対策を述べたところです。PTという生き方も説きますが、ちょっと簡単すぎる記述なので、これだけでは実行に移すわけにはいきません。
本書は、普通の本とだいぶ違った記述のようにも思います。しかし、前田氏の考え方は、それはそれで理解できます。資産を守るという立場からは、こんなことになるということでしょう。乙は、もう少しリスクを取ってもいいのではないかと思いますが、それはともかく、ある考え方に基づく話を聞いたといったところでしょうか。
一読しておいて損はない本だと思いました。
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