内藤氏の以前の著書
http://otsu.seesaa.net/article/16754281.html
と同様に投資の本かと思って買ったのでした。しかし、本書は、話題をぐっと広げ「人生の送り方」のようなことがたくさん詰まっていました。もちろん、投資の話も出てきます。しかし、それがメインテーマではありません。
pp.18-20 には、財布の話が出て来ます。財布がきれいな人(お札が整理されて入っている)はお金を大事にしているということです。その反対は、レシートやら何やらがたくさん詰まって分厚くなっている財布です。実は、乙は前者、家内(と子供)は後者なのです。何だか我が家のことをいわれたような気がして、思わず苦笑してしまいました。
投資関連の話に行きましょう。
p.162 投資のコストはしかたがないものと説かれます。投資信託はコストがかかる、外貨投資は為替手数料がかかるなどといって否定してばかりいてもしかたがないということです。そのため、ベストよりもベターを狙うべきだとされています。乙も同感です。まあ、同じようなものがあってコストが違えば、コストが低いもののほうを選びますが、コストをゼロにすることはできません。高いリターンがあるならば、高いコストを払うこともやむを得ないと考えています。
pp.165-166 お金をふやす人が少ないのはなぜかという話です。時間がないからという理由が多いそうです。しかし、内藤氏は時間の使い方とは優先順位の問題であり、やる気があれば少しは時間ができると説きます。耳が痛い話です。
p.195 投資には勉強が必要だと説きます。なぜなら資産運用とは、勉強している人が勉強していない人からお金を合法的に巻き上げるしくみだからだとしています。実に新鮮な視点でした。乙ももっと勉強しなければと思いました。
pp.201-204 投資に時間をかけすぎるのはやめようと説きます。なぜなら、自分の時給を考えると、時間をかけて株の銘柄研究をするならば、それは時給分のコストがかかるからだというわけです。サラリーマンなら、割と実感している論理かもしれません。ただし、この言い方は、p.195 と矛盾する面があります。勉強するには時間がかかり、つまりコストがかかるからです。内藤氏は時間をかけずに投資に臨めばいいと説きますが、それでいいのだと納得する(つまり自分のスタイルを作り上げる)までは、あれこれ迷い、いろいろな本を読むでしょう。つまりここで時間がかかっているのです。結果的には、時間をかけないやり方ができるとしても、それに到るまでは、やっぱり時間をかけているのです。
投資は勉強だということを実感させる本です。この本を読んで、乙はいかに生きるべきかという点で再考をうながされたように感じました。
内藤氏のブログに立ち寄ってみるのもおもしろいと思います。
http://www.shinoby.net/
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..