2006年10月01日

タイのクーデターと株価の動向

 9月19日に起こったタイのクーデターは、もうニュースとして知らない人はないでしょう。首相が外国にいる間に軍が首相府やテレビ局を占拠してしまったわけです。
 ところで、乙は、ファンドを通じてタイの株に投資しています。
http://otsu.seesaa.net/article/20603063.html
タイ株は、今回のクーデターでどういう影響を受けたでしょうか。
 8月末には、乙が HSBC GIF - Thai Equity (Class AD) に投資した1000ドルは、898ドルまで下がっていました。では、9月末ではどうだったか。920ドルになっていました。ごくわずかですが、この1ヶ月で上昇したことになります。毎日基準価額をチェックしているわけではありませんが、今回のクーデターの影響はなかったといっていいのではないでしょうか。
 ファンドが、クーデター直後に株の売却に動いて損失を回避したという可能性もありますが、ちょっと考えにくいと思います。大量の売りはそれこそ株の暴落を招きますし、ファンドの目的がタイ株への投資なのですから、それから一気に逃げ出すというのは、ファンドの目的に合いません。(このあたりは、今後の運用報告書を読めばわかります。)
 ファンドの動向については、
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/2006-09-20T185927Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-229098-1.html
が、こんな記事を載せています。「【香港 20日 ロイター】タイで19日発生したクーデターについて、海外ファンド勢の間では、タイ関連資産の投げ売りは始まっておらず、割安感が出れば押し目買いを入れる可能性がある、との声が多い。ただ、軍による政権運営が長期化するなど、政局の不透明感が強まった場合や、資本規制が導入された場合は、大量の売りが出る可能性があるという。20日のタイ市場は休場。海外のファンドマネジャーの間では、21日の同市場は下落して始まる公算が大きいが、下げは一時的ではないか、との見方が出ている。」
 ということで、今回のクーデターはタイの株価にあまり影響しなかったと思います。
 どのくらいの影響なのか、ちょっとタイ株の指数で見てみましょう。
http://excite.co.jp/News/economy/20060921140110/JAPAN-229233-1_story.html
によれば、「[バンコク 21日 ロイター]クーデター発生後初の取引となる21日のタイ株式市場は、急落して始まった。アナリストによると、クーデター発生を受け、株価指数に占めるウエートの大きいエネルギー会社や銀行の格付けが引き下げられることが懸念されているという。SET指数は、取引開始直後の0300GMT(日本時間正午)現在、前営業日(19日)終値比28.25ポイント(4.02%)安の674.31と、7月以来の安値をつけた。」とあります。急落とはいえ、たった4%でしかありません。
 クーデターが起これば、法律による保護がなくなりますから、自由な経済活動が制約され、人々も外出を控えるでしょう。外国人は国外に逃げ出すことも多いでしょう。結果的に経済が停滞し、それを予測して株価は下がるというのが普通の見方です。
 しかし、それほど悲観的である必要はありません。
 今回のクーデターは、一発も銃弾が飛び交うことはなく、むしろ、プミポン国王はクーデター賛成のようでしたし、市民もそれを歓迎する雰囲気が強かったようです。つまり、経済的なダメージはそれほど深刻ではなかったということです。
 株価に影響しないクーデターもあるんだという点で非常に興味深いものでした。(乙は、内心、株価がどれくらい下がったのだろうと戦々恐々だったのですが。)たった1000ドルで、いい経験をしました。
 もっとも、タイは、クーデターが頻発する国のようですから、カントリーリスクが大きいということは変わらないと思います。タイ株に多額の資金を投入しては危ないといえます。

 ところで、日本では、タイのクーデターがどういう影響を与えたでしょうか。
http://www.asahi.com/special/060921/TKY200609200168.html
には、「東証、大幅安 タイのクーデターで買い控え」という記事があります。一部引用します。
「20日の東京株式市場は、前日の米国株安などを受けて全面安となり、日経平均株価は一時250円を超す下げ幅となった。午前の終値は、日経平均が前日比177円78銭安い1万5696円50銭。東京証券取引所1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は同22.37ポイント低い1569.61だった。
 米国景気が減速するとの見方が強まっていることに加え、タイでは前日夜にクーデターが発生。20日のアジア市場も軒並み下落したことで売りが広がった。クーデターについては、軍事衝突までは至っていないことから「今のところ市場への影響は限定的」(大手証券)との見方もあるものの、タイの混乱がアジア全域の経済停滞につながるとの懸念から、タイに進出している自動車メーカーの株は軒並み売られている。」
 ということで、この記事では東証が大幅安ということになっていますが、比率でいえば1%程度の下落で、そんなに「大幅」とはいえないと思います。これくらいの変動は当たり前にあるものです。
 http://stock22.seesaa.net/article/24035763.html
は、1991年のタイのクーデターに言及し、日本の株価に大きな影響はないと述べています。
2008.9.4 追記
 この話に関連することを
http://otsu.seesaa.net/article/105984637.html
に書きました。よろしければご参照ください。
posted by 乙 at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンドの運用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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