この本は、小説(フィクション)であり、投資関連本というのとちょっと違います。
あらすじとしては、次のようなものです。香港に住むコンサルタントのところに女が訪ねてきて、「5億円を日本から海外に送金し、損金として処理してほしい」といいます。つまり、脱税です。そして、女は消えますが、動いた(消えた)カネは実は5億でなく50億だったというわけです。
本書は、金融情報小説とでもいうべきもので、乙にはとてもおもしろく、一気に読んでしまいました。普段、小説などは読まない乙としては異例のことです。タイトルに偽りなしです。
冒頭に出てくる HSBC香港での口座開設の話などは、乙の経験とダブって見え、ホントにリアルに思えました。その後の本筋の話は、実話ではなく創作でしょうが、読んでみると、こんなことで多額のカネを処理するのかと驚くばかりでした。あたかもコンサルタントは橘氏のことのようです。もっとも、これを真に受けて、実際に行動に移してはいけません。(ま、たいていの人はそんなにカネがないでしょうが。)
著者の橘玲氏は、「海外投資を楽しむ会」の創設メンバーの一人であり、金融関係の著書があり、その道に詳しい人だと知っていましたが、こんな小説を書くとは、ホントに驚きました。久しぶりに上質のエンターテインメントを堪能しました。
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