本書も、投資関連本というよりは、金融情報小説というべきでしょう。
本書は、死期が近づいた老人が税金を払わずに孫娘に20億円の財産を譲るという話です。コンサルタントがそれを請け負うのですが、具体的にどうするのかは本書を読むとわかります。ここでネタバラシをしては著者に失礼でしょうからこれ以上いいません。
これまたすごい話です。フィクションですから、何とでも書けるという面もありますが、いやはや、世の中にはこんな話もあるんですねえ。それにしても、橘氏はすごい人です。本書は、合法と非合法の境界をきちんと心得て書かれているので、単なる非合法の社会の裏面を描く一般のお話ではありません。乙には(そんなにカネがないので)無縁の世界ですが、非常に興味深かったです。
本書は、小説だとはいいつつも、読むことで、日本の税制などの社会の仕組みの勉強も同時にできるという意味で、いわゆる「小説」とはずいぶん違うように思います。
2冊分の分量があって、ちょっと長いのですが、とてもおもしろいので、充分読み切れます。
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..