日本国債がデフォルトすることを予測しています。なぜそうなるかといえば、日本国債を買う人がいなくなるからです。そして、第4章では、国債が暴落することで、日本国民の生活がどうなるかを描いています。円安、インフレになり、政府、企業、金融機関、農業、年金、公的サービスがどうなるか、変化を予想しています。
記述はおおむね妥当でしょう。
一番の問題は、このような日本国債の暴落に備えて、では何をすればいいかということです。本書では第5章で若干の記述がありますが、大したことは書いてありません。基本的には、それを受け止めるしかないというスタンスです。
投資の観点からは、分散投資をすすめています。まあ当たり前でしょう。しかし、p.203 では「損切りのルールを守る」などということが出てきて、「あれ?」と思ってしまいます。
それにしても、国債が暴落するとは、一体、いつごろの話なのでしょうか。もしも、今のままの日本のあり方が継続するとして、数年先でしょうか。10年先でしょうか。あるいはまた20年ほど先なのでしょうか。それによって影響が全然異なります。しかし、本書にはそういう時期の話は一切出てきません。なぜなのでしょうか。
p.18 では、他の記事の引用で「今から50年以内に……」というようなことがちらっと書いてあるのですが、50年後ならば、乙は当然死んでいますから、どうでもいい話です。少なくとも心配するような話ではありません。
本書を読んで、わかったような気になる一方で、どうにもわからなくなりました。
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国債が暴落したら、大変なインフレになると思われます。
その際、10年後に物価連動でたとえば100倍の元本を償還するつもりだといっても、そのとき、政府にそれに相当するお金があるかという問題です。
乙は、経済的大混乱の中で、こんな国債を政府が全額償還するなどということはほとんどありえないと思いますね。
100万円の通常国債が100万円で償還されるのに対して、100万円の物価連動国債が1億円で償還されるとした際、たとえば、8割減で償還されるとして、通常国債は20万円の表面価値しかなくなり、物価連動国債は2000万円の価値になります。しかし、今の物価で考えれば、20万円程度の価値しかないわけですから、大損するという意味で同じことです。もっとも、通常国債は20万円で償還されて、今の2千円の価値しかないのに比べれば、マシだとはいえます。
それにしても、10年前より今の方がむしろ国債暴落論は高まっている、というのに、東京証券取引所での国債先物取引の建玉枚数は、当時の半分以下の残高しかありません。「国債が下落すると見込んで売り建てている投資家はほとんどいない」のが実情なのです。