アジア圏の投資信託残高を調べた図が載っているのですが、1位=日本(55兆円)、2位=香港(54兆円)、3位=韓国(23兆円)、4位=台湾(数兆円)、5位=インド(数兆円)ということです。
一方、その隣には、米メリルのアジア調査の結果が載っていました。アジアの国・地域の富裕層(100万米ドル以上の純金融資産を持つ人)の数です。1位=日本(140.6万人)、2位=中国(32万人)、3位=韓国(数万人)、以下、4位=インド、5位=香港、6位=台湾、7位=シンガポールと続きます。日本が突出して多いことになります。また、富裕層の保有資産総額では、日本はアジア全体の46%を占めます。
乙は、両者の違いに興味を持ちました。
二つの記事は、アジアだけを調べていて、それ以外の地域について調べているわけではないのですが、投資信託残高を見る限りでは香港が非常に伸びています。香港の富裕層の数が少ないのですから、アジア各地から香港に資金が流入していると考えられます。そのかなりの部分は中国本土からではないか(中国の富裕層32万人が投資するとすれば香港)と想像します。しかし、それを考慮しても、なお、香港の投資信託残高の大きさは説明できません。たぶん、欧米各国からの資金流入があるのでしょう。歴史的経緯を考慮すると、特にイギリスからの投資が多いだろうと思われます。
吉井崇裕氏は、2006.5.29 現在ですが、
http://www.morningstar.co.jp/fund/anl_view/06_2q/0529.htm
において、次のように述べています。「人民元変動幅拡大への期待から、香港株式市場に海外からの投機資金が流入しています。香港証券取引所の2月の月間売買高は6,564億香港ドル(約9兆 8,000億円)となり、香港の中国返還以来の過去最高を更新しました。人民元先高感に伴う香港への資金流入にも理由があります。実は外国人投資家の多くは、中国本土市場への投資が規制されています。そこで、資産の大半を人民元建で保有しているH株企業(香港に上場している中国本土に法人登記している企業)に注目が集まりました。米ドルに実質的にペッグ(為替レートを固定)している香港ドル建のH株企業は、米ドル安・元高が進むと資産価値が高まるので株価も上昇するのではないかという思惑が広がったのです。さらに4月に入り、中国人民銀行がQDII(適格国内機関投資家)制度を通じて、外国の有価証券への投資を解禁する方針を発表しました。これを受け、本土の投資家に身近な中国企業が上場する香港株式市場が本土マネーの受け皿となる期待が高まり、H株指数は7,000ポイントの大台まで上昇しました。」
この記事によれば、香港は中国本土からの投資が多いとのことです。
投資信託協会の記事「投資信託の世界統計」を見てみましょう。
http://www.toushin.or.jp/result/index.html
によれば、香港の投資信託残高が多いのは、何も今だけの傾向ではないようです。ちょっと前の時期を見てみると、2004年3月末現在では、
http://www.toushin.or.jp/info/w_resultbackno/w_result041.pdf
日本の 3740億ドルに対して、香港は 2750 億ドルで、かなり差が付いていました。(それ以前は、日本の数字はあっても、香港は圏外で数字がわかりませんでした。香港での投資信託はこの数年で急増しているようです。)
以下は、乙の勝手な独断(勘ぐり)ですが、日本の富裕層の多さにも着目すると、香港で投資している日本人が意外に多いのではないでしょうか。中国株も(H株に投資する例がほとんどでしょうから)基本的には香港での運用になるでしょう。投資信託の残高が多いということは、もしかして、日本から香港へのキャピタル・フライトが始まっているということを意味しているのではないでしょうか。
こう判断していいかどうか、迷うところもあります。二つの調査のしかた(統計の取り方=数字の計算のしかた)にもよるのですが、そこが記事にはきちんと書かれていないのです。
乙は、こういうところにも注目していきたいと考えています。
このような点に関して、ご意見のある方は、コメント欄にでも書き込んでいただけると幸いです。
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