本書は、内容が薄く、今となってはあまりオススメではありません。
本書は『ゴミ投資家のための税金天国入門』
http://otsu.seesaa.net/article/25298702.html
『ゴミ投資家のための海外ファンド入門』
http://otsu.seesaa.net/article/25672040.html
に続くもので、オフショア・ファンドについて一通りの解説がなされています。
目次は、
http://www.alt-invest.com/book/sintaku.html
http://www.panrolling.com/books/alt/iranaitoshishintaku_contents.html
に掲載されています。
乙がおもしろく読んだのは第1章だけでした。
pp.10-14 では、海外ファンド、ヘッジファンド、オフショア・ファンド、ミューチュアルファンドなどがお互いどう違うのか、明確に書いてあります。とてもわかりやすいと思いました。
p.37 「オフショア・ファンドこそがもっとも有利な投資信託であるとは主張しない。」とあります。ちょっと「あれれ」と思ってしまいますが、著者たちの良心の表れと見るべきでしょう。いろいろなファンドの特性を知り、それぞれの投資家が一番いいと思ったやり方でそれぞれに商品を選べばいいというわけです。
第2章(pp.42-75)は、Micropal を使ってオフショア・ファンドを検索する話ですが、今やマイクロパルは本書で書いているようには使えません。
http://www.micropal.com/
という URL はありますが、本書の記述とはまったく異なっています。というわけで、第2章は、今はほとんど役に立ちません。
第3章は「オフショア・ファンドを購入する」章です。申込書の書き方などを具体的に書類の形式と記入例を示して教えてくれますが、さて、こういう記述は必要でしょうか。
本書で説明されている書類は、みんなやさしい書類で、英語もむずかしくないと思います。本書を見なくても記入できるようでなければ、オフショア・ファンドでの資産運用なんてどだい無理な話でしょう。実は、申込書よりも、目論見書(Prospectus)のほうがはるかに重要です。それぞれのファンドについて詳しく説明されているのですからね。申込書に使われている英語がわからないような人は、とうてい目論見書が読めないでしょう。それで大切な資金を投資して大丈夫なのでしょうか。
そう考えると、第3章は、一体誰(どういう人)に向けて書かれてるのか、乙には理解できませんでした。ここに出てくる英語が読める人には、翻訳も解説も不要ですから、この章が不必要なわけですし、このレベルの英語が読めない人は、オフショア・ファンドに手を出すべきでないと思うからです。
第4章以降も同様で、今となっては、あまり有用な情報といえないように思います。
本書が刊行されてからたった6年ですが、この間に海外投資に関する環境は激変してしまいました。今ならば、インターネットを使って投資する方法を詳しく書くべきで、FAXなどはもう書いてもしかたがないでしょう。
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