WWW を探すと、その記事は、10月19日 20:00 に掲載されていました。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20061019AT1D1907N19102006.html
この記事は、20日の朝刊の記事の前半だけを収録したものです。
NIKKEI NET の中を探すと、IT PLUS 欄に10月19日 18:22 に掲載されていました。
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITea001019102006
この話は、WOWOW にとっては、好都合な話であり、契約者減が続く WOWOW としては、一気に多数の契約者が見込め、増収となる話でしょう。
さて、WOWOW とスカパーの提携の話が公になって、WOWOW の株価はどう動くでしょうか。たいていの人は、たぶん、上昇すると予測するでしょう。だって、WOWOW の増益が見込めるニュースなんですから、当然です。
乙が最初に WOWOW の話を知ったのは、10月19日 15:02 発信の News Delivery Mail というメールニュースでした。このメールは、株式市場が閉まった後に送信されました。
http://post.tokyoipo.com/mail/infofile.php?brand=1322&info=118698
まあ、この手の(株価に影響を与えそうな)ニュースは株式市場が閉まってから発信されるのが常識です。
では、実際の株価はどう動いたか。WOWOW(4839)の過去1週間を見てみましょう。単位は千円です。
10月13日(金)始値=252 高値=255 安値=250 終値=255
10月16日(月)始値=255 高値=263 安値=250 終値=259
10月17日(火)始値=274 高値=277 安値=271 終値=273
10月18日(水)始値=270 高値=300 安値=270 終値=294
10月19日(木)始値=290 高値=297 安値=284 終値=286
10月20日(金)始値=288 高値=289 安値=279 終値=279
先週末の13日は、それ以前と大きく異なることはなく、まあ、WOWOW の株価はこんなものでしょう。とはいえ、10月に入ってから WOWOW の株価はじりじりと上げる方向にありました。
16日は、やや上昇しています。17日も上昇しています。18日は、いよいよ上昇し、高値では30万円の大台に乗せています。19日も高値圏で推移しています。そのころ、乙は、なぜこんなに上昇するのか、まったくわからず、不思議に思っていました。
10月20日、朝一番に日経新聞朝刊を読んで「それっ」とばかりに WOWOW を買いに行った人は……残念ながら、高値づかみで購入したことになります。20日は基本的に下げ相場でした。(もっとも、これから反転して上がる可能性もありますから、単純に損をしたとはいえませんが。)
今回の件で儲けた人の典型は、事前に(1週間ほど前に)ニュースを知り、その時点で WOWOW の株を(成行で)買い、ニュースが一般に流れた直後に(成行で)売った人です。おそらく、255,000 円(13日終値〜16日始値)くらいで買い、288,000 円(20日始値)で売ったことでしょう。13% ほどの儲けです。
このことから、(たった一つの事例だけで断定してはいけませんが、一事が万事ということもあります)乙は、次のようなことを感じました。
(1)新聞で報道されたニュースをもとに(短期的な)株の売買の行動をしても遅すぎます。
新聞だけでなく、他の(若干早い)メディアを利用しても同様です。
(2)現実には、数日前から、その後のニュースをもとにした株の売買が行われています。
ですから、メディアに出るよりも前に情報を入手して、それで売買しなければ、うまく立ち回れません。
(3)インサイダー取引が行われている可能性が高いようです。
ニュースになる直前にこのような株価の値動きがあるのですから、そういうことを見ると、やはりインサイダー取引を考えるしかありません。WOWOW か、スカパーの関係者からどこかに情報が漏れ、それでこういう動きが起こったのではないでしょうか。あるいは、メディア関係者かもしれません。
http://otsu.seesaa.net/article/21454300.html
ですでに乙が書いたことですが、過去にもこういう事件は起こりました。
(4)一般の投資家は、株で大きく儲けることはできません。
情報の事前入手ができない一般の投資家は、それを利用した株取引はできません。したがって、大きな(しかも確実な)儲けはねらえません。
というわけで、株では、個別銘柄の売買で儲けようとするのは大変です。特殊なコネ(ニュースソース)を持たないとダメでしょう。かつ、かなりの資金をすぐに動かせるようになっていなければなりません。サラリーマンは、機動的な売買をする時間もカネもないですから、圧倒的に不利です。
こういう事例を見て、乙は、個別株の取引がちょっと恐くなってしまいました。少なくとも、短期勝負では、一般の個人投資家が、情報を持っている人に勝てるわけがありません。逆にいうと、株で勝てる人は確実に勝てるし、つまりは大儲けができる仕組みがあるということになります。
一般の個人投資家は、長期で勝負するか、個別銘柄よりはインデクス・ファンドがいいということになるように思います。
余談ですが、この件に関して、日経新聞が8月31日(夕刊)段階で報道したことに対して、WOWOW はそれを否定するコメントを出しています。
http://post.tokyoipo.com/mail/infofile.php?brand=1322&info=110752
WOWOW としては、スカパーへの番組提供は、検討してはいるものの、正式に決定していないというわけです。それはそうでしょう。その後の段階で話がつぶれる可能性もあったと思います。しかし、今から思えば、日経新聞の報道が正しかったという見方もできます。こう考えると、企業が出す情報も、うさんくさい面がありそうです。
ところで、WOWOW がスカパーと提携する場合、(両者にメリットがあると考えれば)スカパーも株価が上昇すると思われます。どうでしょうか。
スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(4795)の1週間の株価を見てみましょう。
10月13日(金)始値=63600 高値=64200 安値=63000 終値=63700
10月16日(月)始値=63800 高値=64200 安値=63100 終値=63900
10月17日(火)始値=63800 高値=63800 安値=63000 終値=63500
10月18日(水)始値=63500 高値=63500 安値=62200 終値=63200
10月19日(木)始値=63000 高値=64200 安値=62900 終値=64200
10月20日(金)始値=69200 高値=69200 安値=65700 終値=66700
こちらは、事前の株価の上昇は見られず、ニュースが流れた後の20日の始値がピーク(前日から8%の上昇)で、1日かけて株価はだら下がりでした。20日は、出来高がそれまでの8倍程度に急増しました。
ということは、スカパー側では事前の情報漏れはなかったともいえるわけで、漏れたとすれば(メディア関係者は無関係で)WOWOW 関係者からという線が強くなってきます。
それとも、実は、インサイダー取引などは一切なく、日本市場は公平で、単に乙が疑り深いためにそう見えただけなのでしょうか。乙は、そうであってほしいと願っています。
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