投資に関する本ではありません。タイトルからわかるように Web 2.0 に関する本です。
普段からアマゾンで本を買うことが多い乙としては、何となく買って読んでみました。
本書によれば、アマゾンは、ロングテールをねらって大きく成長したとのことです。書店に並ばないようなほとんど売れない不人気本でも、ネットなら扱えるというわけです。インターネットが普及することで、とんでもないところにビジネスチャンスが出現するんですね。
ところで、ネット証券などでもロングテールがねらえないものでしょうか。今は、各証券会社が扱える投資信託の数が限られていて、したがって、場合によっては投資家が複数の証券会社に口座を設ける必要があるわけですが、ネットだったら、たくさんの投資信託を扱っても、証券会社側の手間が増えることはあまりなさそうです。ですから、数十種類の投資信託を扱うのでなく、数百種類ないし数千種類(日本で買える全部?)を扱って、投資信託のスーパーマーケットのようにするというのはいかがでしょうか。ネット証券ですから、もちろん販売手数料は格安にできます。こういうスーパーマーケットは、ネット証券ならできます。というか、窓口販売では、手間がかかりすぎてとうていできません。
p.108 アマゾンでは、一般人の書いたカスタマー・レビューがプロの書評を駆逐してしまいました。
アマゾン流の(一般人による)レビューは、カカクコムなどでも見られます。こちらも大変有意義です。
これと同様のことが投資信託の世界でもできないでしょうか。それぞれの投資信託を購入している人が何でも書き込めるような掲示板のようなものを設置します。Yahoo の個別株の掲示板みたいに、変な書き込み(失礼!)が集中すると意味がないのですが、そこは運営側が判断して適当なものだけを掲載するようにします。場合によっては、その投資信託に関して書かれた(ブログの?)記事にリンクを貼るようなことでもいいでしょう。そういうのがあったら、投資信託の購入者は大いに参考になるでしょう。購入者によっては、運用報告書などを丹念に読んで、当該の投資信託の問題点などを鋭く指摘するような記事を書く人も出てくるでしょう。そうやって、多くの個人投資家の声を反映させるようなサイトができたら、それを参考に投資信託を選ぶようなことも可能になるのではないでしょうか。
投資信託は、本のように複雑な内容のものではありません。それに、本は何百万点もあるのに、投資信託はせいぜい数千種類程度しかないでしょう。しかも、投資信託の購入者の数は本の読者の場合に比べて圧倒的に少ないということもあります。これらの諸事情を考えると、うまく行かないかもしれませんが、乙はちょっと夢想して一人で愉快になっていました。
p.177 情報とマネーは親和性が高いという話です。どちらもものとしての実体がなく、データにたやすく変換できるからというわけです。証券市場や為替市場はもともとネットに適していたことになります。乙としては、このあたりで、さらに一皮むけた新しい(投資に関する)サービスがネット上で起こることを期待しています。ネットを使わない高年層の個人投資家が減少しつつあり、個人投資家の株取引はすでにネットが中心になっていることを考慮すると、その可能性はあると思います。
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