マレーシア・タイ・フィリピンで増えている「裕福でない日本人老年層」を取材した結果です。こういう国では生活費が安いからということで、あまり多くの預貯金を持たない日本人が退職後に英語も現地語も話せないまま長期滞在している例が多いという話です。
本書は、海外移住を勧めるスタイルではなく、むしろ、騙されたり詐欺に遭ったりしている日本人高齢層の例がたくさん書かれています。つまり、トラブル集のようなものなのです。現地人にやられる例もあるし、日本人にやられる例もあります。こういう本を読んでいると、ホントに海外移住していいのかというような感覚になってきます。
まあ、どこに住むのであれ、イヤなことがいろいろあるものでしょう。地球の上では、どこに行っても誰かがいるし、また他人なしでは生きていけないのが人である以上、地上には楽園がないようなものなのです。
本書のタイトルの「年金夫婦の」は、ちょっと言い過ぎかもしれません。マレーシア編では確かに年金夫婦がでてくるのですが、タイ編では、タイ人妻と暮らす年金受給者(騙されているのかどうなのかよくわかりませんが)がメインですし、フィリピン編でも介護を受ける老人の話題ですから、ちょっと違います。
いざ、海外で暮らすことを考える際には、本書のようなものも一読しておくとよさそうです。
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..