これは、ひとことでいえば、匿名組合方式によるベンチャー投資ファンドといったところでしょう。匿名組合は、厳密にいえばファンド(投資信託)ではありませんが、みんながお金を出し合って「何か」をして、利益をみんなで配分するということを考えれば、ファンドと同様なものと考えてもいいと思います。
この仕組みについては、磯崎哲也氏が書いています。
http://tez.com/blog/archives/000171.html
また、そのブログの記事のコメント欄で募集内容がある程度わかるようになっています。
この匿名組合は、どれくらい出資金を集めたのでしょうか。
http://www.sbigroup.co.jp/business/assetmanagement/fund.html
によれば、簿価純資産は200億円とのことです。ずいぶん出資金を集めたことがわかります。それだけ魅力的だったといえましょう。
乙が投資を見送った理由は、三つありました。
(1) 出資金がやや高めなこと
1口100万円からとのことですが、実績が何もないところに出すには、ちょっと高めだと思いました。
(2) 手数料が高いこと
申込み時2%、毎年3%の固定報酬に加えて、成功報酬が資産増加分の20%かかります。運用資産が当初出資金の2倍を超えたら成功報酬は30%になります。これはファンド一般に比べると相当に高い手数料です。特に、固定手数料部分が高いと思います。
(3) 非常にハイリスクであること
「目的及び事業の内容」として「主にブロードバンド・インターネットに関連する事業を行っている中長期的に高い成長が見込まれる国内外のIT関連未公開企業に投資」するとありますが、未公開株に投資するということですから、うまく行けば相当にハイリターンが期待されますが、一方では、ブロードバンドの環境がこれから激変する可能性もあり、それぞれの企業がどういう方向性を持っているかで、結果の良し悪しが大きく変わってしまうと考えられます。
さて、現在 WWW を見てみると、この匿名組合に関する記事がいくつか見つかります。
http://www.morningstar.co.jp/j_p/f_news/04_08/f_n0820.htm
は、2004.8.20 の記事ですが、ワールド日栄フロンティア証券 専務取締役 中尾征雄氏が次のように述べています。
「確かにベンチャー企業に対する投資には大きなリスクがあります。一般的に、ベンチャーキャピタルが投資をした未公開企業が上場を果たし、大きなリターンを得ることのできる確率は3割程度で、5〜6割はトントン、残りはゼロになってしまうといわれます。しかし、リターンの得られた3割の企業の株価は、投資額に対して数十倍にも上昇することもあり、ファンド全体のリターンはかなり高いものとなるのです。」
ということで、ハイリスクであることを認めた上で、ハイリターンを予測しています。販売する側のセールス・トークである以上、こう述べるしかないと思いますが。
http://plaza.rakuten.co.jp/sekifumi/diary/200609090000/
では、出資している人の意見が書いてあります。「1. 大手証券会社が関係しているファンドで安心 2. SBI系のIPOは人気化しやすい 3. ネット関係のIPOは人気化しやすい」とのことです。乙には、これらの理由はあまり根拠にならないように思えます。
これらに対して、この匿名組合に否定的な声があちこちに見られます。
http://million.exblog.jp/446717/
では、いろいろ考えて、結局、申し込まないようになったようです。
http://zillionaire.sblo.jp/article/1199079.html
では、SBIブロードバンドキャピタル2号投資事業匿名組合ですが、2006年8月29日段階で進捗率が遅いことを憤慨しています。
http://zillionaire.sblo.jp/article/800507.html
では、同じく、SBIブロードバンドキャピタル2号投資事業匿名組合ですが、2005年10月13日段階でIT関連企業ではなさそうな企業に投資していることに疑問を呈しています。
http://blog.mag2.com/m/log/0000051074/105178111
では、カン・チュンド氏が「1.客観的な「時価」を把握できない 2.中途解約に制限あるいはペナルティーがある 3.売り買いがしにくい」の3点をあげて、「一般の公募ファンドの表も裏も知り尽くした(いわゆる)セミプロの方が、より高いリスクを取って投資される運用商品だとわたしは思います。」と述べています。
乙は、投資初心者の考え方がナイーブで危険すぎると思われる場合もあり、カン・チュンド氏の言い方には、半分納得するものの、一面では、初心者でもセミプロでも、実際の投資段階では金融商品を買うという行動面は同じになるので、投資には(プロも)セミプロも初心者もないという考え方も成り立ち、全面的に賛成ともいえません。
http://d.hatena.ne.jp/ecodrive/20040826
では、2004.8.26の記事ですが、「投資家が負うリスクについて重点を置いて書かれている一方、投資の内容は表面的な説明に終始しています。予定される配当の利率や、具体的な投資対象企業名が明らかにされている訳でもなく、お任せコースでお願いするしかないようです。【中略】分別保管なし、投資実績なし、マネージャの手腕不明の商品に投資することが躊躇われたので、見送りました。」ということです。乙が不安に思ったことがここに明確に書いてありました。
乙がこのファンドの購入を見送ったのは正解だったかもしれません。
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