出だしに「本書は2000年8月に発売された『ゴミ投資家のための金融シティ香港入門』の新版にあたります。」と書いてあります。それなら、乙は、前著
http://otsu.seesaa.net/article/25920504.html
は読む必要がなかったということです。
目次が
http://www.panrolling.com/books/alt/hongkong2.html
http://www.alt-invest.com/pl/book/hongkong/index.htm
にあります。後者は “金融シティ香港”の基本知識FAQ や 香港豆知識 があって、便利です。
本書は、香港上海銀行とシティバンク香港の口座開設からその口座の使い方を解説したものです。例によって非常に詳しく丁寧な書き方がされていますが、乙は、ここまで丁寧な書き方が必要なのか、疑問に思っています。香港上海銀行が pp.65-207、シティバンク香港が pp.209-320 で、両者ともに相当のページ数です。特に、香港上海銀行の話はかなり詳しく、本書を一読するだけで、どんなサービスがあるか、一通りカバーできそうです。ただし、p.86 あたりでは、債券の手数料の話がきちんと書かれていないようです。
シティバンク香港についても、本書だけでほぼその全貌がわかります。p.211 で、シティバンクでは、インターネットで送金できる金額の上限が1日1万香港ドル(約15万円)と書いてあります。また、p.220 では、「株式売買とFX取引を除いて、インターネットで売買することはできません。」と書いてあります。投資信託がネットで買えないというのには驚きました。この2点を考慮すると、乙は、シティバンク香港を利用する気はしませんでした。逆にいうと、乙が HSBC 香港で口座を開設したことは正解だったということです。
pp.22-64 は「“金融シティ”香港FAQ」という部分ですが、ここはけっこうおもしろかったです。
p.46 「香港では、ファンドは銀行の投資口座を通じて購入するものと考えられています。地場証券やネット証券は株式しか扱わないところがほとんどです。」と書いてあります。なるほど。こう考えれば、証券会社を利用するメリットはあまりないことが納得できます。
p.62 チャールズ・シュワブの話が新鮮でした。米国株、米国債、オフショアファンドを扱うとのことです。
http://www.schwab.com.hk/
がホームページです。ここは、けっこう手数料が高そうなので、乙は、たぶん、利用しないと思います。
本書は、厚さはあるものの、記述内容は薄くなっているように思います。まあ、口座を開設する前に、どんなものか、手に取るようにわかるという点が本書の売りでしょう。各自にとって、口座開設の必要性・利便性があるのかどうか、事前に検討する場合には、かなり有用な本かもしれません。
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