出だしからいきなり「中国の銀行はこんなに面白い」ということで五つの体験談が載っており、引き込まれてしまいました。
本書は、人民元口座を作った体験談と、その使い方を書いたもので、登場する銀行は中国銀行とHSBC中国です。
もっとも重要なことは、日本円を人民元に両替することは簡単にできるけれども、人民元を外貨に両替することは、普通の個人にとって不可能だということです。まあ、香港に持ち出して両替するという道もありますが、かなり手間がかかります。そもそもそういうことは中国が認めていないのが現状です。
人民元は、切り上げの方向にあることが明らかですし、そうならないにしても金利が高くなるでしょうから、人民元投資は魅力的なものです。しかし、人民元のこういう性質を考慮すると、普通の日本人にはちょっと手が出せないと思います。
となると、それを乗り越えて人民元口座を作り活用する人というのは、どういう人なんでしょうか。中国にしょっちゅう出かけている人でしょうか。でも、何のために、……。もしかして中国でビジネスを展開している人でしょうか。本書を読んだ人で、本書の内容を活かすことができる人は、いったいどういう人なのか、乙には想像ができませんでした。
例によって解説は丁寧で、この本だけで口座開設などはできそうに思えます。現地での行動を考えると、ある程度は中国語の知識が必要なのではないかと思いますが、著者たちの中国語のレベルはどんなものだったのでしょうか。書いておいてほしかったですね。
一読し終わった後、普通の個人にとっては、この本を読んでもしかたがないのではないかと思いました。
少なくとも、乙には、この本は不要でした。
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