税理士が書いた本ですが、ところどころに「ぶっちゃけ税理士のBCG判定」というコラムが出てきます。こんなことをしていいのかという問題に対して、回答を Black(×)、Clear(◎)、Gray(△)に区分しています。とてもわかりやすい記述です。
内容は、税金の問題が大半を占めます。
特に長いのは Part 01 で、「「個人か? 会社か?」会社をつくる「ソン・トク」ぶっちゃけます!」というタイトルがついています。ここは、個人事業主と会社とで課税がどう違うか、その結果税金がどう変わるかを具体的に詳しく記述しています。個人で起業する人などは、ぜひ、こういう知識を持っておくべきです。
Part 02 の「経費に関する「ソン・トク」ぶっちゃけます!」もおもしろかったです。ホンネがたくさん出てきます。たとえば「個人的に使ったお金はどこまで経費にねじ込めるのか」などということは、回答を知りたいと思う質問の第1位ではないでしょうか。
乙が気になったところですが、p.241 で「実調率」(じっちょうりつ:税務調査の割合)が書いてあり、2006年度の数値ですが法人 4.9%、個人 0.8% と書いてありました。こんな低いとは知りませんでした。個人では一生税務調査と無縁の人もけっこうたくさんいることでしょう。言うまでもなく、全国民がまじめに所得を申告し、税金を払っていれば、税務調査は無用です。現実はそうでもなさそうですが、……。
本書は良書です。
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実調率の件ですけど、この0.8%というのは事業をやっていない人も含めての割合でしょうから、個人事業主限定でしたら法人よりもむしろ率は高いのかなと思います。
個人事業主が法人成りした場合、小規模な法人ですから、税務調査に狙われる確率はより下がると思われます。
はい、おっしゃるとおり、個人事業主だけではなく、全個人の内の 0.8% ということだと理解しています。
乙の場合、給与所得者ですから、この本を読んでいるときには個人事業主の観点がまったく抜け落ちていました。
ご指摘、ありがとうございました。
感想いただきありがとうございました!
少しでもお役に立てれば幸いです。
今後共宜しくお願いいたします。
何と、著者の方からコメントをいただくとは驚きです。
今後、また次の本を楽しみにしています。
税金のことは、一生ずっとつきまとう話ですから、それなりの需要があると思います。