フリーのライター&イラストレーターである著者が税理士に税金について質問をし、税理士が回答する形で書かれています。
サラリーマンを対象にした節税の話は(需要が多いので)いろいろな本に書かれていますが、フリーランスの人を対象にした本は(サラリーマンよりは圧倒的に需要が少ないので)ほとんどないように思います。
税金と社会保険の話から始まって、記帳業務の大切さを説きます。さらに、白色申告と青色申告の違いを説明し、青色申告をするように説きます。
消費税についても書いてあります。1千万円を超える売り上げがあると消費税にも注意しなければなりません。本書では、フリーランスの人に対しては、手間を省いて簡易課税を推薦していますが、たしかにこれで十分なように思います。
さらに、その後の話として、法人化も視野に入れていますが、このくらいの規模になると、フリーランスで働いているというよりは会社の社長として働いているわけですから、本書とは違った側面の知識が必要になるでしょう。しかし、それならそれでいろいろな本がありますから、そちらで知識を得るほうがいいと思います。
最後に「税務調査」の話が書いてあります。実調率(実際に調査に入った比率)については、個人の所得税なら1%、法人だと6〜7%という統計が示されます。ずいぶん低いものです。
岩松正記(2011.2)『個人事業、フリーランス、副業サラリーマンのための「個人か? 会社か?」から申告・節税まで、「ソン・トク」の本音ぶっちゃけます。』ダイヤモンド社
2012.4.21 http://otsu.seesaa.net/article/265912899.html
とは少し値が違いますが、まあ似たようなものです。
ただし、乙は、所々に入るイラストが不要だと思いました。本文との重なりが気になります。また、話し言葉(対話調)で書いてあるのも、ちょっと冗長な感じで、これなら普通の書き言葉で書いてあるほうが読みやすいのにと思いました。
とはいえ、税金について知りたい場合、全体としてまあ良書だと思います。
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