さすがに今となっては古くなってしまった記述が目に付きますが、しかし、書いてある内容の基本は間違っていません。
本書は、PART 1 銀行編、PART 2 ファンド編、PART 3 株式投資編にわけて、いろいろな商品をランキングしています。どんな金融商品がどんな特性を持っているのか、概要を知るにはとてもいい本だと思います。
特に、コストの話は興味深いことが多く、投資の基本はコストだなあと感じました。
pp.64-65 米国債の買い方が書いてあります。アメリカの証券会社で買うのがいいとのことです。乙は、野村證券で買ってもいいと思っていました
http://otsu.seesaa.net/article/25117720.html
が、手数料が高くてダメだそうです。債券投資は一から考え直さなければならないようです。
p.73 FX取引でも、海外は圧倒的にコストが安いとのことです。乙はあまりFXには興味がありませんが、やるとすれば、やっぱり海外を考えたほうがいいんですかね。
pp.123-125 インデックス投資と同様のことが、日経先物を利用すれば低コストで可能だという話です。約定金額に対する売買手数料 0.08% と聞くと、なるほど安いと思います。証拠金100万円でレバレッジを16倍効かせて1600万円相当の取引ができるということですが、う〜ん、株式の先行きにかなり自信があるとしても、1600万円相当の投資は、なかなか踏み切れないでしょうね。たとえば、株価がぐっと下げたときをねらって買うのでしょうが、それにしても、乙にはなかなか買う決心が付かないことでしょう。
pp.146-155 同じファンド会社の商品でも、日本で購入できるものとオフショアのものとではいろいろと違っているという話です。もちろん、運用成績も違います。おもしろいものです。
p.156 「圧倒的に影響が大きい税コスト」ということで、税金が投資にいかに悪影響を与えているかが説明されます。だからオフショア・ファンドは手数料が高い(税金を払わない分高く設定できる)という話は説明としてすぐれています。
本書は、普通の投資の本と違って、それぞれの金融商品に徹底的にこだわって、どんなものが(個人投資家にとって)都合がいいのかを述べています。ここまで調べて書けるという「海外投資を楽しむ会」はすごいものです。
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