保険である以上、保険金の期待値は 100% 以下に決まっています。つまり、保険料を払うだけ損をするのです。万が一のことがあったときは保険金が出るわけですが、「万が一」のことはめったに起こりません。そう考えると、生命保険などと一緒で、旅行保険には入らないほうがいいという結論になります。こうして保険会社の手数料分だけ節約しようと考えるわけです。
ここで問題になるのが妻です。普段から論理的に考えることをせず、いつも感覚的・直観的に判断しますので、保険に入らずにいて事故でもあったらいやだからということで保険に入ろうとするのです。まあ、いざというときの保険金に比べて、支払う保険料が大したことないということもあるのでしょう。乙は、まったくムダだなあと思いつつ、自分の考え方を妻に伝えても、いっこうに聞き入れる耳を持たないので、やむを得ず、従う場合が多いです。夫唱婦随ならぬ婦唱夫随といったところでしょうか。
パックツアー以外では、(自分で足と宿を用意する各種個人旅行のことですが)妻も旅行保険に入りません。乙としては、このあたりも、考え方として矛盾しているように思います。旅行会社からすすめられたから旅行保険に入るというのは、自分で判断して行動しているわけではないので、自立したオトナの態度としてよくないと思います。
しかし、最近、妻の態度がやや変わってきて、国内旅行では、旅行保険に入らなくてもいいというようになりました。それはそうでしょう。旅行のときに危ないと考えたら、各種出張だって危ないし、毎日の通勤だって、いつ電車が転覆するかわからないし(ちょっと大げさですが、JR福知山線の事故を考えたら、無視できません)、そういうときの保険に入っていない以上、わざわざパック旅行のときだけ保険に入るのは変です。我々は、いつでも旅行から無事に帰ってきています。それを繰り返したら(そういう安全性を考慮して)、一応、旅行保険に入らないようになりました。乙の考えでは、これが健全だと思います。
まあ、日本は安全な国だといえるでしょう。
海外旅行だって実は同様で、そこに住んでいる人はたいていそんな保険に入らずに生活しているはずです。旅行者にとって、国内との唯一の違いは「言葉が通じない」ことです。このことから、やっかいな事件に巻き込まれる危険性がちょっとだけ高くなります。その分、保険料が高くなっていることでしょう。しかし、考え方は同じであり、乙は、基本的に、海外旅行でも旅行保険に入る必要はないと考えています。
先日のヨーロッパ旅行では、……「あ〜あ、ムダだなあ」と思いつつ、妻の意見にしたがって、旅行保険に入ったのでした。もちろん、無事に帰ってきました。