本書は、ヘッジファンド、プライベートエクイティ・ファンド、ベンチャーキャピタルファンド、バイアウト・ファンドなどについて解説したものです。それぞれがどういうものかを知るには便利な1冊ともいえます。
p.4 「はじめに」の最後のところですが、「一般個人のために書いたオルタナティブ投資の本は、もしかすると世界初?」とあって、驚きました。すでにいろいろな本が出ていますし、この本で説かれている各種ファンドについては、それぞれの解説がすでにされていると思います。ただし、そういうのをまとめて1冊にしたというのは、珍しいかもしれません。
p.17 最後から5行目に「「マーケットは効率である」という論を信じるのであれば、これはマーケットをつくり上げる無数の各個別銘柄に関する情報(業績や受給など)はすべてその株価に織り込まれているということです。」とあります。何度読んでも、乙には意味がよくわかりませんでした。
第2章は pp.64-110 ですが、このページ数で13種類のヘッジファンド戦略を説明しています。しかし、さすがにこれでは説明が簡略すぎて、一読してもよくわかりませんでした。(別の本を読めばわかりますが。)
p.137 ヘッジファンドを解約するときは、最高益の水準から 15% くらい下げたときだという話はおもしろかったです。絶対収益を目指すヘッジファンドならではの(投資家サイドの)考え方です。
p.163 プライベートエクイティ・ファンドは、当初、成績がよくなくて、その後次第によくなるという話が出てきます。乙の経験とも合致していて、なるほどなあと思いました。
p.254 Bridge Capital 証券が設立され、ヘッジファンド運用が始まると書いてありますが、今、WWW を探しても、Bridge Capital 証券については、情報が見つからないようです。どうしたことでしょうか。
本書では、いろいろなファンドの話が出てきますが、個人投資家がこういうファンドに実際出資できるのかどうかはわかりません。最低投資額はいくらなのでしょうか。具体的にどこの証券会社(?)にたずねればいいのでしょうか。本書にはこういう情報が一切載っていません。これでは結局お話として知るだけです。乙には、このあたりが不満でした。
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