文字通り、世界の各地で海外預金口座を作るためのガイドブックで、それぞれのお国の事情なども詳しく書いてあり、どこに銀行口座を作るか、迷っている人にも役に立つ本だといえます。
p.11 国内の金融機関でも、海外口座の開設を扱っていたのに、顧客が集まらず採算が取れないということで、撤退してしまった例が多いのだそうです。乙には意外でした。まだまだ、海外口座開設はマイナーなんですね。
pp.42-43 2ページの表形式で、国・地域別の海外口座開設事情が掲載されていて、これだけで全世界の事情が分かります。それにしても、よくこんなに調べたものです。
p.84 日本の銀行は、バンクリファレンスを出さないという問題を論じています。これがないと、海外の銀行で口座を開設する際、大きな問題になります。なぜ出さないのでしょうか。岩崎氏は「単なる怠慢なのか、無知なのか、それとも別の意図があって出さないのか。日本の金融業界が規模は世界トップレベルでもサービスは3流といわれる証拠だ。」と述べ、厳しく批判しています。乙は、日本の銀行が内向きの(国内向けの)営業だけを重視してきたことが原因だろうと思います。本当の意味での金融ビッグバンが実現していないのでしょう。
p.110 からの実践編では、「(在日)銀行の紹介で口座を開設する」が四つの銀行、「直接、現地で海外口座をつくる」が六つの銀行、「インターネットで海外口座を開設する」が四つの銀行を取り上げ、具体的にどうすればいいかを詳しく説明しています。
実践編が本書の半分を占めますが、このくらいの記述で充分間に合うのではないかと思います。
全体として、海外口座に興味のある人は、一読するといいと思います。多くの人は、あちこちの銀行に口座を開設するのは大変ですから(それぞれに100万円くらいの最低預貯金金額が求められますから)、まずは一つからはじめることになるでしょう。その場合、本書1冊で全世界を見渡すことができますから、ありがたい本だといえます。
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