やや古くなってしまった記述がありますが、基本はしっかりしていて、読んでいておもしろいです。
しかし、このタイトルは良くありません。全317ページの本ですが、「インターネット」の話は、p.257 になって初めて出てきます。つまり、もともとインターネットのことは関係ないのです。それを題名にうたうのは、ちょっと感心できません。販売政策上、出版社サイドがリードしてこういう題名をつけたのでしょうが、最後は著者が了解しているはずですから、著者の考え方の問題です。
PART 1 は、pp.17-170 で、投資の考え方を述べるところです。説得力があります。
乙には、pp.52-53 確率半分のギャンブルでほぼ確実に勝てる「マーチンゲール」の話が(意外で)おもしろかったです。
pp.54 から(PART 1 の中で)STEP 2 が始まりますが、これが p.138 まで続きます。「「現代投資理論」をめぐるちょっとだけ長い旅」というところですが、確かに長いです。わかりやすい説明だと思いますが、ちょっと飽きます。そして、その長い話の結論は、p.145 に書いてあります。世界のインデックス・ファンドに投資するということです。
その直前、p.144 に日本人投資家がおかした間違いについて書いてあります。一つは個別株に投資したことです。そして、もう一つは日本株に投資したことです。データを示して、こういう議論を展開されると、もう従うしかありません。
p.161 平均への回帰というおもしろい現象について書いてあります。このことからも割安株に投資するということの意味がわかるというものです。
というわけで、本書は、PART 1 だけを読んでも価値があるものと思います。
PART 2 は、pp.171-274 の「インターネットで外国債券投資」というもので、ここもおもしろかったです。
p.220 には、債券の売買手数料が出て来ます。100万円以下で1%なんですね。こんな話は知りませんでした。これはけっこう高いです。ネットで調べても、売買手数料がかかるとは書いてありましたが、具体的にいくらかかるかは書いていないケースが多いのです。
p.234 日本でもジャンク債市場が必要だという話が書いてあります。なるほどと思いました。
p.272 外国債券を買うなら、アメリカのエージェンシー債の割引債を1万ドル分買うのがいいということです。これが外国債券投資の結論部分です。
PART 3 は、pp.275-315 と短いのですが、ミューチュアル・ファンドを買おうという話です。p.293 で、AMEX のインデックス・ファンドを買うのがいいという話です。
全体としてよく書けている本で、ファンドや外国債券投資の説明がかなり詳しく、特に、海外に投資しようとする個人投資家には役立つ面が多いように思います。著者の知識の幅の広さに脱帽です。
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