基本はしっかりしていて、読んでいておもしろいです。しかし、7年以上も前の本ですから、さすがに古くなりました。たとえば、p.98 からインターネットで取引できる日本の証券会社が出てきますが、今とはだいぶ違う顔ぶれだなあというところです。
p.21 欧米では借金するときノン・リコース・ローンが普通だという話です。これは、担保以外には債務の返済が及ばない形式です。日本のようなウィズ・リコース・ローンだと、(不動産価格の下落によって)担保の価値が下がるとそれ以外の資産まで影響が及び、とにかく借金はすべて返すということになります。どちらがいいかは明らかです。
pp.124- サンプル社の損益計算書の例を出し、読み方を説明しています。架空の会社だということですが、日本の会社は「こんなもの」のようです。日本の社会の「暗黙の了解」をはっきり示している点で、乙は大変おもしろく思うと同時に、日本の会社に対してあまり期待できないと思うようになりました。p.131 あたりにも、こう感じさせる記述があります。
p.167 アングロサクソン流の合理的経営について説明されます。このあたりを読んでいても、日本の会社の未来は明るくないと思わせます。
pp.198-296 「アナログ・メディアの使い方」ということで、各種雑誌などが紹介されます。乙は、それぞれの雑誌の評価がおもしろかったです。
pp.248-287 アメリカの証券会社 Datek に口座を開設する話です。アメリカ株をやるなら Datek がいいと思わせます。Datek は、現在 Ameritrade になっているわけですが。
ちなみに、現在は、Ameritrade での日本人の口座開設はできないようです。
http://kowloon.livedoor.biz/archives/50305442.html
p.288 アメリカ株の税金の話です。「損出し」も含めて、とても詳しい記述で、大いに参考になります。
まじめな本ですが、この本も題名に「インターネット」をうたっていて、良くないと思います。315ページの本の中でインターネットが出てくるのは p.226 からなのですから。
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