読み始めてすぐに(p.2 で)、前著・海外投資を楽しむ会(1999.5)『ゴミ投資家のための インターネット株式投資入門』メディアワークス
http://otsu.seesaa.net/article/29240918.html
と合わせて1冊の予定であったことが述べられます。
つまり、乙がブログ
http://otsu.seesaa.net/article/29240918.html
で述べた前著に関する疑問点の一つ(インターネットの話がなかなか出てこないのに題名に「インターネット」をうたうことの問題)に対する説明が書いてありました。
さて、本書は、読んでみたところ、かなり冗長な記述であるように思われました。もっと短くていいし、当初の企画の通り、前著と合わせて1冊にしたほうがよかったと思います。
目次は、
http://www.alt-invest.com/book/inet2.html
に掲載されています。(INTRODUCTION もここで読めます。)それをみてもわかるように、本書の目的は、いくつかのアメリカのサイトを紹介することにあります。こうして、アメリカ株の取引をやろうというわけです。
で、執筆態度ですが、このシリーズの傾向で明らかなように、それぞれのサイトの個々の使い方を説明するために、さまざまな画面をキャプチャーして、それに「ここをクリック」などの注記を加えて本書中に掲載してあります。乙はそれが冗長性を高めていると思います。
そもそも、各種サイトは、本書のようなものを読まずにそこにアクセスしてきた人でもわかるように作られています。WWW の全体がそうなっているはずで、手引き書を首っ引きで見ながらでないとサイトが使えないとしたら、それはサイトとして大問題です。つまり、画面キャプチャーなどを本で示すことは本来不要のはずで、URL を一個示せばそれで終わりなのです。
もちろん、URL だけでなく、そのサイトの特徴やそこで実行可能なこと、そこで得られる情報などを述べてもいいのですが、そういう記述をしても、さすがにこのページ数(267ページ)にはならないと思います。
本書の執筆方針として、英語が苦手な人のために詳しく説明したのかもしれませんが、本書中であちこちに出てくるように、それぞれのサイトは英語が読めることが前提であり、そうでなければ、ネットを見て回って各種情報を集めてくることはできません。英語がわかれば、本書で示してあるような、どこで何を入力するかなどということはまったく不要な情報です。
こういう本は、記述が冗長なだけでなく、時間が経つと意味がなくなります。WWW のデザインや各種情報を入力する順序が変わってしまえば、画面キャプチャーは無用の長物になります。意味がなくなるどころか、むしろ誤解を与えるものになるでしょう。
本書では、最初に amazon.com の使い方が出てきます。本の買い方から懇切丁寧に詳しく書いてあるわけです。確かに amazon の使い方を知ることでインターネット企業の秘密の一端を知ることはできますし、それはムダではありません。しかし、それをいったら、コーラ会社の株を買うときはコーラを飲んでみなければならないし、不動産会社の株を買うときは、その会社で不動産売買をしてみなければならないということになるわけです。(そういう記述は本書中にはありませんが。)それがムダだとはいいませんが、そこまで書かなくてもいいのではないかというのが乙の感想です。
そういえば、乙は、1999 年ころに amazon.com で買物をしたことを思い出しました。クレジットカードの番号を入力して簡単に買物ができて、丸善や紀伊国屋などの日本の洋書屋さんよりもはるかに便利だと思いました。当時、洋書屋さんのレートは相当にひどいもので、実勢の為替レートなどとはまったく違っていました。(具体的な金額は忘れましたが)1米ドルが 300 円くらいだったように思います。(違っていたらごめんなさい。)amazon.com は、クレジットカード決済ですから、為替レートは実勢レートに2円程度上乗せされるだけです。しかも、アメリカからほんの数日で本が届くのです。送料もそんなに高くありません。乙にとってすごいサービスでした。もう、日本の洋書屋さんは不要だと感じました。
今となっては、こういう本を読む意味はほとんどないというべきでしょう。老後の楽しみとして、昔を語り合いつつノスタルジアにひたるときに本棚から引っ張り出して読む本ということになると思います。(そんなときまで保存しておくかどうか自信がないですが。)
このシリーズで、一番読まなくていい本がこれだと思いました。残念でした。
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