2006年12月22日

日経金融新聞 2006.12.21 号の投信記事

 日経金融新聞 2006.12.21 号は、投資信託の特集で、11月末時点での「オープン投信 運用成績と評価」というのが6ページにもわたって掲載されていました。純資産10億円以上で6ヶ月以上の運用実績を持つものを全部取り上げているとのことで、壮観です。格付け投資情報センターによる、リターンとリスクに関する過去3年の評価が符号で付いています。紙媒体で投信を選ぶ場合は、こういうのも参考になるでしょう。
 さて、その4面には、投資信託に関する記事が出ていました。「キーワード 信託報酬と運用成績」というものです。前半で、信託報酬の高低と運用成績の良し悪しは関係がないと述べた後、後半で次のようなことが書いてありました。
 「例えば日本株全般で積極運用するアクティブ型投信約200本について、11月末までの5年間騰落率を調べると、最高210%から最低14%まで開きがある。一方、信託報酬は最大2.5%から最低0.8%程度であり、5年累積すると8.5%の差がつく計算だが、運用成績の差のほうが圧倒的に大きい。競争原理による信託報酬の低下は歓迎するべきだが、銘柄選別など運用力向上が前提になる。」
 この記事では、信託報酬の差による影響は小さく、運用成績の差による影響が圧倒的に大きいから、後者に注意するべきだと述べています。しかし、このことは、前半に書かれている両者は無関係だという説明と矛盾しているのではないでしょうか。
 もしも、信託報酬が高い投信の運用成績が、信託報酬の低い投信の運用成績よりも圧倒的によいならば、(つまり、信託報酬と運用成績に正の相関が見られるならば)信託報酬の高低はあまり気にせずに、運用成績を重視して投信を選ぶということになりますが、現実には、そうではないのです。
 だとしたら、運用期間中に確実にかかってくる信託報酬が安いものを選ぶべきで、成績がどうなるかは、神頼みになるということです。210%の運用成績(5年で3倍ですから見事なものですが)は、たまたまの幸運でしかありません。その投信が210%の成績を挙げることは事前にはわかりません。
 乙は、この記事を読んで、どうしても矛盾するようにしか読めませんでした。
posted by 乙 at 06:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内投資信託 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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