2006年12月23日

日経金融新聞 2006.12.21 号の投信記事(続)

 日経金融新聞 2006.12.21 号の4面には、藤沢久美氏の記事「投信批判を考える」が掲載されていました。
 記事の趣旨は、投信に対する批判は当てはまらない面があるというものです。
 販売手数料が高いという批判に対して、藤沢氏は(1)投信はそもそも短期売買をするものではない、(2)ネット販売の投信ではノーロードのものが増えているから、販売員と相談したい人は窓口で手数料の高いものを買えばよく、低コストのものを希望する人はネットで買えばいい、という2点を述べています。
 次に、信託報酬が高いという批判に対して、藤沢氏は(3)信託報酬の多寡よりも騰落率を投信選びの基準にしないと、コストも安いが運用成績も今一歩のものを買うことになる、(4)ファンド・オブ・ファンズは、信託報酬が二重取りだが、顧客はファンド・オブ・ファンズを購入するかどうかの選択権があるのだからいい、という2点を述べています。
 そして、結論として、投信業界がメリットとデメリットを顧客にきちんと情報提供することが大事だと述べています。
 乙は、これらの点について、次のように考えます。
 (1) これは、藤沢氏に賛成します。販売手数料が高いものは、その分、投信を長期に保有することで、販売手数料を相対的に安く抑えるようにするべきです。乙は、販売手数料1%を保有期間1年(以上)と考えることにしています。3%ならば3年以上保有するということです。
 (2) これについては、藤沢氏に賛成の面と反対の面があります。投信の購入者は、最初の段階で、ネットで買えばノーロードだ(ノーロードのものがある)ということを知らないと思います。(乙もそうでした。)だから、窓口で(不要なコストを支払って)買ってしまうのです。投資教育が不十分だといえば、その通りですし、投資家の責任だといえば、それもそうなのですが、しかし、窓口の対応はいかにもまずいと思います。ネットなら販売手数料が無料ですよなどとは絶対にいいません(当たり前です。そんなことをしたら自分の首を絞めますから)。その上、窓口では、目論見書を読めばわかるようなことをぐだぐだと説明しますし、いかにも手際が悪いのです。こんなことに手数料を払うなんて、ばかばかしいのです。投信の販売手数料が高いと批判する人は、ある程度、投信の経験を積み、株式や債券の知識がある人だろうと思います。いろいろ経験してみると、販売手数料が高いなあと思えてくるというわけです。したがって、今のように、銀行で投信を買い始める人は、販売手数料が高いということに気付いていません。つまり、藤沢氏がいうように、顧客がいろいろと選択するのが理想なのですが、実際はそうなっておらず、よく知らない顧客を相手に銀行や証券会社が(郵便局も)儲けているという現実があるのです。
 (3) これについては、藤沢氏に反対です。
 昨日のブログ
http://otsu.seesaa.net/article/30031768.html
で述べたように、各種の投信の今後の騰落率は事前にわからないと考えるべきで、コストが安いものが「今一歩」のものになるとは限らないということがあります。とんでもない好成績を期待するわけではありませんが、そこそこの運用成績を期待する場合、やはり信託報酬の多寡が大事なのではないでしょうか。たとえば、年間の平均成績でいえば、数%程度の運用成績を期待しますが、だとすると、1.5% の信託報酬は高いということになります。
 (4) これについては、藤沢氏にほぼ賛成です。乙も、ファンド・オブ・ファンズを買っていますので、単に信託報酬が高いことを批判するつもりはありません。わかってやっていることです。ただし、現状では、投信の購入時に、親ファンドの手数料までがきちんと書いてあるかどうかということになると、心配です。目論見書を読めば、書いてありますが、長い書類を読まなければならないということで、なかなかめんどうなように思います。パンフレットなどにも明記してほしいものです。その意味で、運用会社からの積極的な情報提供を望むことになりますが、これも藤沢氏が最後に述べていることに合致します。というわけで、藤沢氏に賛成です。
 なお、藤沢氏が取り上げてはいませんが、投信の信託報酬が、20年以上前に比べて、だんだん上がっているという点は、やはり信託報酬が高すぎるという批判の根拠の一つになりますし、業界の姿勢として問題のように思います。投信の運用会社が、投資家のほうでなく販売会社の方を向いているということの証しの一つです。
posted by 乙 at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内投資信託 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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