ネットトレーダーがどんなふうな考え方をするのか、知ろうと思って、タイトルだけを見て買ったのですが、中身はデイトレードの本でした。タイトルからそうだと気が付くべきでした。
乙は、デイトレードをしないので、ムダな買物をしたように思っています。
いくつか、感想を述べます。
p.13 浜島氏流のケチのススメが書いてあります。新聞は買わずにネットですませるし、本も買わずに図書館から借りるそうです。それはいいのですが、「この本は別として」とわざわざ書いて、読者に対してこの本は買って読むようにと書いてあります。明らかな矛盾です。この本も買わずに図書館から借りましょう。それが正しい態度です。
p.46 米国債を買うなら、アメリカの E*TRADE や Ameritrade を使う方が、日本での買い付けよりも手数料が安いと書いてあります。最近、乙はそのあたりを調べていましたので、このことには同意します。(Ameritrade は、今は米国非居住者の口座開設を受け付けていないのですよね。)
pp.74-75 買いは奇数、売りは偶数という流儀をそのまま書いています。買うときは、1000株、3000株、5000株というように単位株の奇数倍を買い、売るときは、2000株、4000株、6000株というように単位株の偶数倍を売るというのです。もちろん、こんなことに意味はありませんが、そういう話をそのまま書いてしまうところがおもしろいです。著者が何かの科学的基準で株の売買をやっているわけではないことが明確に語られています。
p.86 具体的な売買の記録が出てきます。1日で 55,836 円の利益を上げているというわけですが、乙が驚いたのは、この表の諸費用(売買手数料)のところです。14,163 円かかっています。ということは、ホントの利益は 69,999 円だったわけで、諸費用が利益の2割以上を占めていることになります。これがデイトレードの実態でしょう。成功報酬ではないところで、2割もの手数料を払って儲け続けるというのは、乙には信じられません。
p.150 利益率でなく、利幅で考えるように主張しています。何%の利益というのではなく、1円の利幅が大事だという話です。以下、p.154 まで、利幅主義について書いていますが、基本的に間違っています。
1円の値幅をとるという戦略だから、低位株で勝負するといっています。200 円の低位株だから1円の利幅でいいのであって、400 円の中位株では1円の利幅ではあまり儲からないというのです。しかし、株価が2倍の中位株なら、値幅は2円と考えなければなりません。これはつまり 0.5% の利益率ということなのですが。
著者は1円の値幅を絶対視しすぎています。利幅主義も利益率主義も、ほとんど差はありません。
p.180 損切りの目安も値幅で考えるべきだとしています。そして、取る予定の値幅の2倍を損切りラインとすることを主張しています。プラス1円を目標とするなら、マイナス2円が損切りラインというわけです。これについては、そのうち、乙としても、きちんと述べますが、実は理由がある話です。浜島氏は、なぜそのようにするかという根拠を示さず、自分のやり方を述べているだけです。それでは、単なる経験談に過ぎません。
この本は全体として自分のやり方を述べているだけで、その裏付けについてはまったく書いていません。ですから、この本を信じる人は、それはそれでいいのでしょうが、この本を信じない人(乙はその一人です)に対する「説得力」はまったくありません。
というわけで、この本はオススメではありません。
浜島氏のブログがあります。気になる方はどうぞ。
http://pob.ameblo.jp/
2007.9.18 追記
この話の続きを
http://otsu.seesaa.net/article/55103375.html
http://otsu.seesaa.net/article/55103663.html
http://otsu.seesaa.net/article/55878071.html
に書きました。
よろしければ、ご参照ください。
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